コロナはピンチかチャンスか? カスタマーサクセスへの 影響と対策を徹底議論

2023-04-11 イベント
コロナはピンチかチャンスか? カスタマーサクセスへの 影響と対策を徹底議論のイメージ画像

先日、CXinとCSカレッジ(カスタマーサクセスコミュニティ)が合同でアンケート企画「【コロナ対策/緊急調査】カスタマーサクセス担当者のリアル」を実施し、そのレポートを公開しています。
そちらの回答者限定で、アンケート結果を振り返り、さらに深掘りするためのクローズドイベントを開催致しました。

モデレーターには、アンケート企画共同主宰のCSカレッジより、丸田 絃心氏、パネリストに株式会社ビービットより礒野 亘氏、Repro株式会社より岩田 健吾氏、株式会社ベーシックより塚本 雄介氏という豪華メンバーにご登壇いただき、アンケート結果から見えた課題や、各社の具体的な施策について、1時間半にわたるディスカッションが行われました。

今回のイベントはアンケート回答者限定のため、ご参加出来ない方も多くいらっしゃったと思いますが、限定にするには勿体ない内容となりましたので、イベントの内容をダイジェストでお届けします。

丸田 絃心 氏 (以下、丸田)@geinshin_maruta

株式会社ABEJA Insight for Retail事業部 カスタマーサクセスカスタマーサクセスコミュニティ「CSカレッジ」 主宰

礒野 亘 氏 (以下、礒野)@wataridori89102

株式会社ビービット カスタマーサクセス

岩田 健吾 氏 (以下、岩田)@kengoiwt

Repro株式会社 カスタマーサクセスマネージャー

塚本 雄介 氏 (以下、塚本)@kakusatellite

ベーシック株式会社 カスタマーサクセス部 
カスタマーサポートグループマネージャー

アンケート結果の振り返り

丸田:
ご多忙の中アンケートへ回答して頂き、ありがとうございました。
本イベントでは、レポート記事ではお伝えしきれなかった内容や、具体的に個々の企業でどのような活動をしているのかを深掘りしていきます。

「新型コロナの影響と対策」イベントスケジュール

(丸田氏作成スライド資料より)

初めに、アンケート調査の結果を簡単に振り返ります。
アンケートでは、主に新型コロナウイルスの「影響」と「対策」の2点について調査を行いました。
(結果の詳細はこちら

まず、コロナがカスタマーサクセスに与えた影響は、主に訪問、セミナー、コミュニティといった、「実際に顧客に会いに行く」取り組みが出来なくなったことで、顧客に対しての啓蒙や関係構築、プロダクトの利用を通した成果の創出が今まで通りにいかなくなった、という意見が多く寄せられました。

「CSコロナ対策調査」の結果解説①のイメージ画像

(丸田氏作成スライド資料より)

それに対し、カスタマーサクセス担当者の皆様が行っている対策は大きく分けて2つあります。

1つ目はカスタマーサクセスの手段を変更したことです。
具体的には、今まで行ってきた訪問や、オフラインのセミナーやコミュニティをオンライン化したという回答がありました。

2つ目は、セルフサーブの実現を強化した、または新しく始めたということです。
具体例としては、顧客が課題を自己解決する支援としてFAQページを整備したり、顧客の管理方法を見直したことなどがあげられます。

「CSコロナ対策調査」の結果解説②のイメージ画像

(丸田氏作成スライド資料より)

ここからはパネリストの方に、具体的にどのような影響があったか、またそれに対して、どのような施策を行っているかをお話し頂きます。
(CXin編集部注:イベントでお話いただいた内容の抜粋です。)

パネリストへの質問のイメージ画像

(丸田氏作成スライド資料より)

顧客との向き合い方

岩田:
コロナの影響の1つに、顧客と連絡が取りづらくなったことがあると思います。

コロナによる状況変化で、ビジネスモデルの転換を迫られる顧客や、根本的な対応に追われる顧客が増えました。そのため、忙しくなって、なかなか連絡が取れない・コミュニケーションが図りづらくなったことは課題だと思っています。

丸田:
「連絡が取れない」という課題には、音信不通のような状態と、忙しいことを理由に連絡を断られることの2パターンがあるということですね。僕なら後者の場合、その原因を聞きたくなってしまうのですが、岩田さんはいかがですか。

岩田:
はい。我々も顧客の状況に合わせたサポートをするために、具体的な背景や理由を伺います。

一つ例を挙げると、アプリを提供するある企業の方から「Reproを使いたいが人的リソースが逼迫しており、まとまった時間を確保できない。」と相談を頂きました。そのため、毎週ミーティングの時間を取って、その時間内で一緒に作業をする形に支援方法を修正しました。
このように、顧客の状況をヒアリングすることで、それに応じた対応を考えることが可能になると思います。

礒野:
僕は、今回のコロナの影響は2種類あると思います。

1つ目が事業への影響です。特に小売店や旅行業界は、業績に深刻な打撃を受けているというのは避けられない事実だと思っています。

2つ目は、在宅ワークになったことで、この変化は想像以上の影響があると思っています。

例えば、USERGRAMは「ミーティング中に、参加者全員で見ながら使う」ということを推奨する場面がありますが、在宅になったことで一箇所に集まってミーティングをする機会が少なくなってしまったり、回線速度の問題でサービスが使えなかったりというケースがありました。
弊社に限らず、他の企業でも、そういった勤務環境の変化が原因で、サービスの活用度が下がることがあると思います。

デジタルトランスフォーメーションの
利点と欠点

礒野:
このような顧客支援のリモート化に伴い、これまでハイタッチで行っていたことやセミナーもオンラインへ移行させました。ただ、対面で提供していたものを、そのままオンラインで提供することはできないということを痛感しています。

今までは、弊社の世界観を体験してもらうために3時間のワークショップを開催していたので、最初は全く同じコンテンツのオンライン化を試みました。しかし実際に行ってみると、オンラインでは3時間も集中力が保てないという問題や、顧客のテクノロジー・リテラシーにばらつきがあるという問題が発生するなど、多くの課題が見えました。

そのため、ウェビナーの実施については、対面ワークショップの60%の習熟度を目指して、0からコンテンツを作り直しました。また、集中力の継続に関しては、ロールプレイングを取り入れて、前のめりになれるような楽しいワークショップ作りを心掛けることで改善されたと思います。

丸田:
既存の手法に捉われずに新しい方法を模索したり、ゲーミフィケーションを活用しているということですね。

岩田:
僕は、オンライン化によって、社内の偶発的な出会い「セレンディピティ」の喪失が課題だと感じています。
コロナ以前は社内ですれ違ったときに生まれた雑談、その雑談から生まれる新しいアイデアや連携が、オンラインになることで生まれなくなったと思っています。

この課題を少しでも解決するために、Reproでは毎日朝会と夕会の時間を取って、チームでタスクの共有と雑談をしています。
また、業務中はDiscordという音声共有ツールを使って、いつでも話しかけたり、質問できる環境を整えています。

丸田:
オフィスというある種のコミュニケーションツールが無くなったことで、話すきっかけが減った感覚はありますよね。
Slackやchatworkなどのチャットツールは、元々「コミュニケーションの効率化」や「無駄を省く」という観点で開発されているので、雑談がしづらいのは当然だと思います。そのため、会話のきっかけや機会をなるべく増やす工夫をされいるという事ですね。

お三方への質問で、反対にオフラインよりもオンラインの方がうまくいったケースはありますか。

岩田:
はい。オンラインMTGでは3つのメリットを感じています。

1つ目が、ミーティングなどで顧客の操作画面が見やすくなったことです。
従来の対面型のミーティングだと、操作画面をディスプレイに映してもらって見なければいけなかったですが、オンラインミーティングなら画面共有が簡単に出来ます。

2つ目は、ミーティングを効率化できることです。
アジェンダに沿って議論しながら、共通のスプレッドシートやドキュメントに書き込む作業が出来るので、より効率的にミーティングを進めることが出来ます。

3つ目が、ミーティングの長さに捉われなくなった点です。
必ずしも1時間ではなくとも、10分や30分といった小刻みなミーティングを行うこともできるようになりました。
これは顧客へのオンボーディング支援でも言えると思います。例えば、「この作業だけ一緒にやりましょう」というような小刻みなミーティングと、Slackなどチャットツールを使った非同期コミュニケーションを増やすことの方が、まとまった時間でミーティングを行うよりも、顧客にとってポジティブな場合があります。

「今まで」を捨てる

塚本:
弊社は通常オンボーディングに4か月かけますが、今は項目を絞ることで、2か月でオンボーディングさせる短期プランも用意しています。

本来であればサイトを一緒に育てながら進めていきますが、その期間をぐっと短縮することで、コロナ禍を利用して更に事業をドライブしたいニーズや、変化に大きく左右されないために、まずは短期的に立ち上げたいというニーズに応えられるようにしています。

礒野:
僕はエンプロイー・オンボーディングの進め方が難しい部分だったなと思います。
4月から新入社員を数名迎えていますが、まず通常の新入社員研修は諦めました。その場で実践して学ぶプログラムでは、場数が足りないと感じたからです。

そのため、代わりにやってもらったことが2つあります。

1つ目は、まずはチームに馴染んでもらうために、チームメンバー1人ひとりにインタビューを実施して、メンバー紹介シートを作る取り組みです。これによって、メンバーの人物像を掴み、チームとしての結びつきが強まるといった効果がありました。

2つ目は、仕事へのアサイン順序の変更です。
通常はオンボーディングチームから研修を始めるのですが、オンボーディングのプログラム数が減る一方で、ロータッチやカスタマーマーケティングは格段に忙しくなっています。そのため、今に限ってはロータッチやカスタマーマーケティングからジョインしてもらっています。

丸田:
社内、社外に関わらず、既存のやり方にとらわれずに、状況に応じて上手く変化させていったということですね。

3名のパネリストからみなさまに贈るメッセージのイメージ画像

(丸田氏作成スライド資料より)

今こそ試される、真のカスタマーサクセス

丸田:
では最後に、パネリストの皆様から参加者へメッセージをお願いします。

礒野:
今回のコロナの影響で、顧客に多大な影響が出ている事と思います。
ただ、今やるべきことは実はシンプルで、現状を踏まえてやるべきこと、特に自社サービスを使って顧客の事業に貢献出来ることは何かを、顧客の立場で考えることだと思っています。それを考えた上で、今は自社サービスを使っている場合ではないという結論に至ったのであれば、そう言っていいと思います。

「顧客が何をすべきかを、当事者として一緒に考え、提案していく。」

コロナ禍は、そんな真のカスタマーサクセスが試されている時期だと考えているので、皆さん一緒に頑張っていきましょう。

岩田:
コロナの影響は、ピンチでもありますが、反対にチャンスでもあると思っています。

コロナ禍で投資予算の再配分が行われたように「より本質的な部分に集中出来るか」という選別を受けているように思います。これはカスタマーサクセスという思想についても同じことが言え「非常事態にこそ真摯にクライアントファーストに取り組めてるか」を試されているように思います。

皆さんと一緒に本質的なカスタマーサクセスを目指していきたいです。

塚本:
僕も本質的なカスタマーサクセスが試されていると感じていて、今こそ顧客を応援できることがポジティブだなと感じています。

あとは、コロナ禍が過ぎ去った時に、オンラインという選択肢が当たり前になったことで、コロナ前と比べて顧客体験を落さないようにしたいと考えています。
そのために、コミュニケーションをきちんとフロー化・スリム化して、双方が安心して情報伝達を行える環境を整えていきたいと思っています。

丸田:
パネリストの皆様が仰った通り、今こそカスタマーサクセスが求められていますし、世の中にカスタマーサクセスの価値を広めるチャンスだと思っています。

イベントに参加してくださった皆様と一緒に、今後も頑張りたい思っていますので、どうぞよろしくお願いします。本日はありがとうございました。

Shinya Kojiuchi

株式会社Asobica CCO
2010年、名刺管理システムのSansan株式会社に入社。データ化部門責任者を経て、名刺アプリEightのコミュニティマネージャーへ。現在は、株式会社AsobicaにCCOとして参画中。

関連記事

顧客起点マーケティングを実施するなら

ロイヤル顧客プラットフォームcoorum

ユーザーコミュニティ施策に関するお問い合わせやご検討中の方はお気軽に資料請求下さい。

a

This will close in 20 seconds