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【外部初公開!】1兆円級SaaS企業のカスタマーサクセスを大解剖

2021年4月16日に開催したオンライン対談イベント『【外部初公開!特別対談】1兆円級SaaS企業のカスタマーサクセスを大解剖』では、クアルトリクスジャパンよりカスタマーサクセスディレクターの石本夏美氏にご登壇いただき、株式会社Asobica取締役CCOの小父内信也氏がモデレーターを務めました。

今回イベントに参加できなかった方にもお楽しみいただけるよう、本レポートではイベントの内容をダイジェストでお届けします。

石本夏美 氏(以下、石本)
クアルトリクス ジャパン カスタマーサクセスディレクター
 
小父内信也 氏(以下、小父内)
株式会社Asobica 取締役CCO

会社概要

石本:我々クアルトリクスの本社はアメリカにあります。

2002年当時、創業者のライアンスミスは、大学教授である父親が研究に使うアンケートのためのツールを作ったことからこの会社を立ち上げたと言われています。

我々はカスタマーエクスペリエンスのソフトウェアとして外部から非常に高い評価を受けております。人事部門様向けに従業員エクスペリエンスのソフトウェアもご提供していますが、そちらも日本ではHRテクノロジー大賞を受賞しておりまして、海外ではForrester New Waveでトップ評価をいただいています。

クアルトリクスのビジョン

石本:ではクアルトリクスのビジョンからお話しいたします。

小父内:お願いします。

石本:まず、エクスペリエンスマネージメント(以下XM)という新しいマーケットカテゴリーを打ち出しています。

やはり体験を通じて、来店したお客様の思い出に残り、そのポジティブな思い出が会社のブランドに繋がります。あるいはネガティブな思い出になってしまった時にどうしてももう一度その会社から何か購入しようという気持ちにならないところを、会社としてどう改善していくか。そういったことを我々はXMと呼んでいます。

(石本さん作成資料より、抜粋)

エクスペリエンスギャップを埋めるエクスペリエンスマネージメント

石本:これは我々が行なったリサーチですが、企業のCEOに聞いてみるとほとんどが自分達は最高のエクスペリエンスを提供していると仰ります。

小父内:あるあるですね(笑)

石本:はい。しかし実際の受け手側に聞いてみると、そう思っているのはわずか8%です。

同じことがその会社の中での従業員体験にも言えて、人事の方に聞いてみるとほとんどが自分達の従業員は自分達の会社を推奨するだろうと仰る一方で、そう思っている従業員は38%という結果になっています。

こういったギャップがどこにも存在していると我々は思っています。

そして、そのギャップを埋めるために、顧客や従業員の声を収集して分析するテクノロジーをクアルトリクスは提供しています。

また、我々はカスタマーエクスペリエンス(以下CX)と従業員エクスペリエンス(以下EX)という2つのソリューションを持っていて、最近ではライセンスを2つ同時に買ってくださるお客様も多くいらっしゃいます。理由としては、やはりカスタマーエクスペリエンスを高めるためにはそもそも従業員のエンゲージメントやモチベーションが高くないとサービスの向上に努めないよね、というお考えから両方ご購入いただくお客様が増えています。

小父内:ちなみに比率はCXとEXどちらが多いですか?

石本:実はEXの方が多いんです。面白いことに私が入社した1年半前、つまりコロナの前は圧倒的にCXが多かったのですが、コロナになってリモートワークパルスという新しい無償のソリューションを発信したところ、それを使ってリモートワークについての調査をされたお客様が非常に多くて、そこからEXのお客様になっていただいた方もいらっしゃいます。

小父内:時代背景が影響したんですね。

石本:はい。

それから分析という観点で、クアルトリクスではエクスペリエンスデータというものを収集することができます。おそらくどの会社もオペレーションデータ(業務データ)を持っていますよね。営業の売り上げや顧客情報、人事であれば勤続年数などのデータ。X(エクスペリエンスデータ)とO(オペレーションデータ)を組み合わせることでよりインサイトが見えてくるとお伝えしています。

例えば勤続年数が高い人ほどエンゲージメントが高くて勤続年数が1、2年の人はエンゲージメントが低いことがわかった場合には、オンボーディングに問題があるのではないか、新しい人を受け入れるカルチャーに問題があるのではないかというようなインサイトが見えてきます。

最後に、我々のツールはお客様のカスタマーエクスペリエンスのプログラムがないとうまく定着しないツールです。そのためカスタマーサクセスとしては、ツールをうまく使うことだけではなく、プログラムをどう立ち上げるかや、人材や行動、文化なども含めたアドバイザリーの提供が必要だと思っています。

従業員エクスペリエンスは人事だけで閉じてできるようなことではなく、ビジネスのファンクション、ピープルマネージャーなどの人達を巻き込んで実行していくことなので、それらを包括的に考えていく必要がありますよというアドバイザリーを提供しております。

小父内:なるほど。やっぱり概念から入る必要があるということですよね。

石本:そうなんです。新しい市場を我々は作ろうとしていて、そのためにはツールだけでなく概念からお客様に啓蒙していく必要があると思っています。

多岐に渡るカスタマーサクセスチームとしての役割

石本:では次にカスタマーサクセスチーム(以下CSチーム)についてお話ししていきたいと思いますが、その前に我々カスタマーサクセスマネージャー(以下CSM)が相談を受ける領域を洗い出したのがこの図になります。

(石本さん作成資料より、抜粋)

色々なライセンスがあるので、我々はCSチームとして全てのライセンスを一旦サポートしています。

小父内:これ全部をカバーするのはすごいですね。「領域ごとに担当を変えているのですか?」という質問がきていますけど、今の話だと違うということですよね。

石本:そうなんです。とはいえ一人で全てに対応することはできないので、だからこそチームでサポートするというお話をお伝えしたかったんです。

小父内:そこに繋がるわけですね。

石本:ただ、こういった課題についてまず一旦受けて、お客様が何を知りたがっているのかを理解する必要があるとCSMチームに言っています。 そしてどういう風にサポートするのかといった時に、このサポート体制の図を使っていつもお客様に説明しています。

(石本さん作成資料より、抜粋)

カスタマーサクセスとは、施策を前に進めるための”戦略的アドバイザー”

石本:まずテクノロジーに関する質問は、製品サポートチームや、営業の中でデモをするソリューションのエンジニアに一番知見があるので、彼らに支援をしてもらいます。それからユースケースについては、XMエキスパートという、色々な他社事例を知っていたり、カスタマーエクスペリエンスを長年やってきたりしている専門家が弊社の中にいるんです。

その方達に時々お客様と一緒にワークショップをしてもらったり、あまりプロダクトに関わらない部分でのCXプログラムの立ち上げや、エンゲージメントのベンチマークと比較してお客様の会社はどうかなどのコンサルテーションをお願いしたりすることが多いです。

なので、フロントに立つのは営業とCSで、バックに必ず色々な専門部隊がいるというサクセスチームでお客様をサポートしています。

小父内:専門的な方々が後ろにいらっしゃると、営業サイドとしてはとても心強いですよね。

石本:そうです!

日本は本当にこの1年間でバックを構築してきたのですが、最初はフロントしかいませんでした。今は優秀なバック部門のメンバーがいて本当に助かっています。

お客様からカスタマーサクセスって何をしてくれるんですか?と聞かれた時には、CXプログラムを立ち上げる上での戦略的なアドバイザリーをご提供する役割ですと説明しています。

カスタマーサクセスというざっくりとした名前だと製品のことも含めてサポートしてくれるとお客様は思いがちですが、そこは他のチームがいますと言えるからこそ、私たちは戦略的アドバイザーです、と言えているのだと思います。

カスタマーサクセスとしてのビジョンと実態

石本:ただ、私が2019年の10月に入社した当時はまだそこまで体制が整っていなくて、英語でGlue Functionと呼んでいるのですが、契約更新をさせるためになんとしてでもクアルトリクスとお客様を糊(Glue)でくっつけるみたいな…

小父内:ああ、なるほど。

石本:製品サポートも含め、オンボーディングで問題があった時のフォローや契約更新の手続き関連といった泥臭いところも含め何でもやっていたのが実態でした。

小父内:これが入社時期ですね。

石本:はい。そしてその時に、2023年に向けてはプログラムアドバイザーになっていたいというビジョンを掲げました。そのためにお客様が実践されているプログラムの現状分析アセスメントや、それを受けた成功に向けての計画策定、より幅広く使ってもらうための新ユースケースや新機能の紹介、それからユーザーですね。我々のライセンスは10万円から数億円までと幅広いお客様にご契約いただいているので、全てのお客様に同じサービスをご提供するのは不可能ですが、それをどこまでスケールできるか。そしてそれをデジタルを使って構築していきたいと思ったり、イベントやコミュニティ形成などをやっていきたいと思いました。

小父内:ちなみにこのビジョンというのはCSチーム単独でビジョンを掲げたんですか?

石本:そうですね。うちのチームで。

小父内:それはすごく面白い試みですね。ビジョンやミッションは会社としては掲げることが多いと思いますが、部門単体で、かつ4年という短期スパンで掲げたということですよね。この辺りは本国のノウハウを落とし込んでいるんですか?

石本:本国の方が先に立ち上がっているので、もちろん参考にすることは多くあります。 ただこれをどう実現しようかと考えた時に、例えばCSチームの中で製品サポートのスペシャリストみたいな人を持つ、というようにそれぞれの専門以外のことについてもそのチーム内で専門家を持つ体制にしようという話が出ます。しかしすでに製品サポートチームはいるので、そこに頼みに行くかどうするか、というような議論は今でも度々持ち上がります。

①ミッションクリティカルサポートの実施

石本:そこで今年一年やってきたことの中で成果が高かったものをいくつか紹介していきたいのですが、まず一番助かったのがミッションクリティカルサポートです。

お客様とのプロジェクトのスコープや期間は我々CSMの方で握っているのですが、製品で苦労しているお客様に対してこのプロジェクトを提案することができます。

これは製品に関するエスカレーションや、結構長くお使いのお客様になると顧客管理のディレクトリのデータが散らかっていたり、そのせいで分析もできないといった悩みがあったりするので、それに対してアセスメントを行ない、どう改善すればよいのかというベストプラクティスを、プロダクトスペシャリストがプロジェクトに入ってお客様に提案するというプロジェクトになります。これが発足してから今年4回ほど行なったのですが、毎回ご好評いただいており、ご契約に繋がったものも多くあります。

小父内:すごくいいですね。こちらは今後も増やしていきたいと考えていますか?

石本:そうなんです。ただ、そもそもこういう問題が起きないことがベストなのですが(笑)

小父内:たしかに(笑)

②テクニカルアカウントマネージャーの設置

石本:次に、テクニカルアカウントマネージャー(以下TAM)ですね。

ある一定のライセンス金額を超えた場合はTAMのサービスも一緒に購入してもらうというやり方にした結果、TAMとCSMが一緒にお客様に対応できるようになったことで、テクニカルな質問はTAMに聞いてください、その他プログラムなどはCSMに、という風に切り分けができるようになりました。

小父内:バトンタッチが明確でわかりやすいですよね。その方がお客様にとって安心感があるように思います。

石本:そうですね。ただ、TAMは有料なのであまりライセンス金額が大きくないお客様に対して売るのはハードルが高いんです。その場合はできるだけうちの製品サポートに問い合わせをしてほしい、けどなかなか問い合わせてくれない、みたいな…(笑)

小父内:そうなんですか。

石本:そうなんです。問い合わせ件数を増やしたいけどなかなか日本のお客様は問い合わせてくれないという課題がサポートには当初あって、どうしてなのかというアンケートを送ってみたんです。そしたら、英語で対応されるのかと思っていたとか、そもそも電話できるところがあることを知らなかったとか…

小父内:嘘でしょ?と思いますよね(笑) 最初にお話されたエクスペリエンスギャップと同じですね。

石本:そうなんです。そして我々がCSMとして紹介する時に、一緒に製品サポートのメンバーにも同行してもらって、お客様に安心していただいてから、製品に関する質問はこういう風に電話してくださいといったやり方も含めてその場でお教えしたところ、それ以降問い合わせ件数も増えました。

小父内:どんな人が何をするのかをまず認知してもらうということですね。

③オンライントレーニングをベースとしたカスタマーサクセス体制への切り替え

石本:そして次にしたことが、コロナの前に月一くらいでトレーニングを社内で実施していたのですが、コロナになって会社にも呼べないということになって、英語では元々あった自己学習オンライントレーニングの動画を日本語でも作りました。

ソリューションエンジニアに全面協力してもらって、みんなでものすごい数の動画を分担して作ったので、基本的なことはこの動画を見ればカバーできるようになっています。これをまず主張した上で、わからないことはうちの製品サポートに質問してくださいねという流れを確立することができました。

結構大企業さんだと人事異動が多かったりするので、この動画を使うことで幅広い部門で展開して頂けています。社内に展開すると担当した自分のところに社内から問い合わせがくると思われるお客様が結構多くいらっしゃって、そこで少し躊躇なされるのですが、これをご提供してからは幅広く展開してくださっています。

小父内:導線はどこに張っているんですか?

石本:ランディングページが別にあって、そこからクアルトリクスのログインで入ってもらって、という感じです。

小父内:見てくれないと仕方がないという話だと思いますが、この誘導は結構プッシュしているものですか?

石本:そうですね。CSMがお客様に紹介する時は自分の紹介と合わせてこれを必ず紹介しています。

④契約更新ポータルの構築

石本:次に、契約更新ポータルというものを構築しました。

元々ライアンスミスが大学教授の父のために作ったツールということもあって、我々は大学のお客様が多いんです。そして、大学でお使いの教授は研究の中で非常にセルフサービスでお使いいただいているので、契約更新もセルフサービスでできるようなポータルを構築しました。

クアルトリクスにメールでログインしていただくと、セールスフォースから今のライセンスのご契約内容はこのようになっています、次年度も同じ内容で更新されますかというアンケートが表示されて、もしそのままでよければすぐにそれがチケットとしてファイナンスチームに飛んで…

小父内:すごい仕組みですね。

石本:そうなんです、それでファイナンスチームからすぐにお客様に次年度のお見積りを送れるようになると。

そしてもしダウングレードや契約内容を変えたいという場合はCSMにチケットが飛んで、CSMから問い合わせをするという業務効率化になっています。

顧客の課題とそこに向けたサクセスプランを四半期に一度見直し、顧客との接点を取り続ける

石本:そして色々なことがあってやっとお客様のカスタマージャーニーに応じた必要なご支援をCSチームがご提供しますというところまで最近はもってこられているかなと思っています。

その中で、うちのチームには必ず四半期に一回はカスタマービジネスレビューをしてくださいと言っています。そもそもどのようなビジネス課題を解決するためにクアルトリクスを採用したのかをしっかりと把握し、それに対してのユースケースのご提案と、あとはお客様自身で設定していただいているKPIやネクストステップをしっかり記載することと、それに向けたサクセスプランのディスカッションを主に行なっています。また、四半期ごとに色々なプロダクトのアップデートもあるので、関連するアップデートや新機能のご紹介をして、アップセルやエキスパンションにつなげています。

小父内:四半期に一度実施することは、お客様に事前に伝えているのですか?

石本:はい。

小父内:それ良いですね。事前にセットすることで、打ち合わせの際にリリース情報やアップセルについても話せるという仕掛けがすごく上手いなと思いました。

ユーザーコミュニティを立ち上げ、デジタル化を更に推進

石本:では最後に、今後の課題について簡単にお話ししたいと思います。

やはりCSMとして営業のスキルアップや、毎回XMの専門家の方達に頼るのではなくある程度は自分達でそういった部分もアドバイザリーができるようになりたいなというところと、あとはユーザーコミュニティの立ち上げや、より多くのお客様に支援ができるようなデジタル化の構築を進めたいと思っています。

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執筆:cxin

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