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挫折を経験したから気付いた「ど真ん中」

「勘と根性の営業をテクノロジーで解放し、企業に新たなビジネス機会をもたらす」をミッションに、オンライン商談システム「bellFace」で『電話しながら、対面以上の商談』を実現するベルフェイス株式会社(以下、ベルフェイス)にて、現在カスタマーサクセスグループのゼネラルマネージャーを勤める小林 泰己(こばやし たいき)さんに、徹底した数値化による顧客情報可視化の方法と、CSへの熱い想いを伺いました。

小林 泰己 氏
ベルフェイス株式会社 カスタマーサクセスグループ ゼネラルマネージャー
CSの認知を広げる活動として、CSコミュニティ「Japan Customer Success Community」のコミュニティマネージャーも務める
Twitter:@TaKo_CS

小林さんのこれまでの経歴や今行っている事を簡単にお聞きかせ下さい。

僕のファーストキャリアはHR業界で、ニッチな分野の人材紹介会社でスタートしました。
ただ、その会社がHRの分野だけでなく、アプリケーションサービスプロバイダ(ASP:Application Service Provider)とそのころ呼んでいた月額課金型のビジネスモデルを持っていたので、それのカスタマーサポートとしての仕事が僕のファーストキャリアです。

売上構成比もそのASPが約4割を占めていたので結構重要な役割でしたが、なぜか新卒の僕1人だけで約1,100社をサポートするというハードな環境でした。
そんな環境の中でも、顧客と日々向き合っていると新卒1年目なりに分かるんです。

例えば、「あの顧客は活用度合が減っているし、多分2、3ヶ月後には解約されるだろうな」とか。そして、それは大体その通りになっていました。
でも、1人でサポートをやっていたので、分かっていながらも1社1社回れるわけもなくそのままになってしまっていました。

しばらくそれが続いたので、経営陣に顧客サポート強化を提言しましたが、1年目ということもあって上手くプレゼン出来ず、「まぁいいから、サポートやってよ」と言われて1年やっていました。
その後、サポート以外の業務を色々と任せてもらいましたが、1年目の「顧客を救えなかった」という思いが僕の中にはずっとありました。


その後、初めて転職をした先がベルフェイスです。転職したのが2017年で、その当時はまだ「カスタマーサクセス(CS)」というラベルが今よりも認知されていない中、CS職を募集していた会社がベルフェイスでした。

転職活動の中で「CS」という概念を知った時に、「あ、これは僕が昔、悔しかったけど出来なかったやつだ」と思い、CSに本気で取り組んでる会社は面白いなと思って、ベルフェイスへのジョインを決めました。

入社した当時のベルフェイスのCSは一対一がメインの形でしたが、一対nのCSを推進することが僕の最初のミッションでした。

一対nとは、例えばメルマガでコンテンツを届けたり、ユーザー会の案内をLPやフォームを使って多くの方にお届けできるようにする等です。
今では”普通”な取り組みかもしれませんが、その辺りを整えて、一対nのCS体制を組み立てました。

入社時のオファー時も「なんか色々、1人でも器用に幅広くやれそう」という、フワッとしたことも言われましたが(笑)、ベンチャーフェーズのベルフェイスが、やれていないことを見つけては推進するのは、楽しかったですね。
 

それは、新卒の時の1人で全部やっていたことが活きたということでしょうか。

それはあると思います。
サポートを1人で1年やった後、グループ会社をまたいで色々と兼務をしていたので、営業経験はもちろんありますし、ウェブディレクター経験や子会社の経営もやっていたことがあります。
経験業務領域が広いのが、自分のキャリアの特徴です。

実は、これは自分のコンプレックスでもありました。
僕はすごくジェネラリストで全部70点みたいなタイプの人間だな、と。
ただ、「全部を70点出来るやつもなかなかいないな」ということに最近気づいたので、それもまた強みだと思いながら仕事に励んでいます。

一番怒られる幸せ者

現在、ベルフェイス全社員の1/6がCS職とお聞きしましたが、そこに至った経緯や、そもそものきっかけを教えて頂きたいです。

今は採用拡大期でCS以外の部署も増員していますが、CSの構成比は変わらず1/6から1/7くらいです。この構成比にも現れていますが、ベルフェイスには「CSが命である」という文化が、本当に根付いています。
ここで言う文化としての「CS」は、ラベルとしての「CS職」だけを指しておらず、マーケティングやセールス、プロダクトに至る全てのポジションに関わる概念のことです。

なぜこの文化が根付いたかというと、実はベルフェイスは1年目にCSを知らずに失敗したことで、CSの大事さを痛感しました。
その経験から、代表をはじめボードメンバーが常に「CSはやらないといけない」と旗を振ってくれているからです。

具体的に言うと、ベルフェイスはローンチした当初から、良いコンセプトで使いやすいということで売れていました。
でも、1年経ってみると、非常に多くの顧客が解約していたんです。
まさに”穴の開いたバケツに水注ぐ”状態で、代表含めて「痛感」と言ったのはそこです。
「会社の存続が危ぶまれるかもしれない」となって初めて、「顧客に良いモノをただ提供するだけでは無理なんだ、やはりCSが必要だ」と実感できました。

それ以降は、なんなら代表が一番CSの旗を振っています。
顧客をおざなりにしたことをしていたら怒られますが、それだけ「CSが命だ、本気でCSに取り組んでくれ」と言われていることは、非常に幸せなことだと思っています。
 

CSに力を入れている背景には、そういった経緯があったのですね。CSの組織体系はどういう形をとられていますでしょうか。

今のCSは5チームで構成されています。
オンボーディングチーム、カスタマーグロースチーム、カスタマーマーケティングチーム、テクニカルサポートチーム、プロダクトチームです。

それぞれのチームの役割をお話します。
1つ目のオンボーディングチームは「ベルフェイス初めまして、こんにちは。」の時に、一番初歩的な使い方を教えるところから、「ベルフェイスを活用して組織をどうしていくか」という目標設計のお手伝いを行いながら、目標実現のためのアクションや期限の設定など、道先案内人の役割を担うのがオンボーディングチームです。

そして2つ目のカスタマーグロースチームは、オンボーディングチームの初期支援が完了した顧客に対して継続的な支援を行っています。
このチームは、ベルフェイスの利用継続や活用領域の拡大を目的としています。
オンボーディング後に上手く活用ができなくなってしまった顧客に対して、再オンボーディングを行う役割もカスタマーグロースチームが担っています。

3つ目のカスタマーマーケティングチームは、一対nで後方支援を行うチームです。
また、このチームは社外に対してだけではなく、ベルフェイスのCS事業部の行動最適化支援も行っています。
例えば、ヘルススコアの設計やフローの作成などです。

4つ目のテクニカルサポートが、ベルフェイスのカスタマーエクスペリエンス(CX:Customer Experience)の屋台骨を作っています。 顧客が何か困りごとやトラブルに見舞われたときに、そのトラブルをハイスピードで解決すると共に、顧客が自分自身で問題解決出来るヘルプコンテンツの作成や、そこに至るまでの導線の改善を行っています。

最後にこれら4チームが顧客と向き合うことで得た”リアルな声”を、実際のベルフェイスへ実装するのが、プロダクトチームです。根本であるプロダクト自体を改善することで、カスタマーサクセスの実現を目指しています。

ベルフェイスのCSは、各チームが連携することで、顧客が叶えたいゴールに向かって日々伴走しています。
 

CS組織の中にテクニカルサポートチームが包括されていることが、他企業と比べて珍しく感じましたが、包括している目的はどういったことでしょうか。

元々、テクニカルサポートチームは開発付けのチームでした。
それは、ベルフェイスの仕様をしっかりと理解出来ていないと顧客の問合せに答えられないためです。
実際、トラブルシューティングを行う時は、かなり開発寄りの知識がないと出来ないこともあるので、この組織編成となっていました。
ただ、テクニカルサポートチームが誰と向き合ってるのかを突き詰めると、それは顧客です。
顧客から受けたものをプロダクトに的確にフィードバックするためには、CSとも密な連携が必要だなという考えに至りました。

そこから「テクニカルサポートもCSの一員だ」という思いが強くなり、昨年の夏に組織変更をして、CS組織に包括しました。
 

実際にCS組織に組み込んで約1年経ちますが、それまでと変わったことはありますか?

まず、事業部を跨いでも変わらないのは「サポート品質の高さ」です。
顧客へのチャット対応は、目標の「初動対応60秒以内」に対して、前期実績で言うと30秒以内の対応が出来ています。
また、テクニカルサポートチームは顧客視点とプロダクトの仕様理解のどちらも兼ね備えた、実用的な後方知識を社内で1番持っているチームだということも変わっていません。

変化したこととして挙げられるのは、今までと比較して顧客視点がより強くなったと思います。
例えば、UI(ユーザーインターフェース)やUX(ユーザーエクスペリエンス)の改善で、チャットツールやヘルプページを変更する話が出ていますが、今までだと出てこなかった意見だと思うので、まさにCSとの連携が活きていると感じています。
 

それぞれのチームの目標設定を教えてください。

オンボーディングチームのKPIは、契約から一定期間が経った顧客のスコアを追っています。
イメージだと「担当10社中、何割の顧客を何点以上にしよう」といった具合です。
要は、”良い状態”でカスタマーグロースチームにパスすることが求められています。

その”良い状態”のパスを受けたカスタマーグロースチームは、チャーンレートとアップセルレートを掛け合わせたMRRを追っています。

カスタマーマーケティングチームとテクニカルサポートチームは、ひとりひとりの顧客体験向上も目標の1つなので、例えば、ナーチャリングやイベントの提供などをオンボーディング、カスタマーグロースチームと共同して行っています。

「人の気持ち」も、可視化する

顧客数が増え続けるなかで、効果的な顧客との接触はどのように実現されているのでしょうか。

毎月、全顧客へタッチしたい気持ちはありますが、ひと月でそれを行うのは難しい現実があります。
そのため、顧客のステータスをすべて可視化してヘルススコアをつけることで、タッチする優先度をつけています。

例えば、ベルフェイスの活用が充分に出来ていて僕たちのご支援が必要ない顧客=健全な顧客には、無理やりタッチしなくても良いと思います。
スコアリングをすることで、「時間や人が足りない」という消極的な選択ではなく、能動的な選択が可能となっています。
 

CS活動を行う上で、重要なガキがヘルススコアということですね。現在のヘルススコアの項目数は何項目あるのでしょうか。

ヘルススコアの図

(ヘルススコアの図:小林氏提供)

現在は8項目です。
この8項目は大きく3分野に分かれていて、1つ目が「利用状況」をみるスコア、2つ目が「やる気」を見るスコア、最後の3つ目が「僕たちが提供するコンテンツに興味関心があるか」を見るスコアです。
これらの項目の掛け合わせで、顧客をスコアリングしています。
 

「顧客のやる気」は大事なポイントである一方、数値化が難しい部分かと思います。その難しい項目をどうスコアリングしているのでしょうか。

ベルフェイスでは、”導入や活用の鍵を握るキーマン象”をそれぞれのタイミング毎に設定し、その仮説に対する達成度をスコアリングしています。
例えば、「商談のオンライン活用に対して旗を振る人」(=「推進者」)は、「定期コンタクトやレポーティングに応じてくれるか」や「管理者ログイン率」で測ることが出来ます。

また、「1番ベルフェイスを活用して現場を引っ張ってくれる人」(=「スター」)は、「ベルフェイスを閾値以上使っているか」で測れます。
ただし、この項目だけではスターになりかけの人や、スターを目指している人の存在が測りきれないため、そういった人を発掘するための「やる気」という指標もあります。

このような人たちは我々からの支援の提案を受けていただけることが多いので、「サポートに応じてくれたら加点する」など、スターとは別の項目を用意して定量化しています。
 

仮説がとても具体的だなと感じましたが、これらの仮説はヘルススコアを作った当初からこの粒度で設定されていたのでしょうか。
また、これからヘルススコアを設定する方へアドバイスをお願いします。

ヘルススコアを作った当初から仮説はありました。
そして、今でもその時立てた仮説は大きく外れていないという感覚を持っています。

ヘルススコアが出来る前は、色々な支援をやりすぎてしまい、どの施策が顧客の成功に寄与してるのか分かりづらい時期もありました。
その中で、CSの肌感覚を活かした「こんな顧客は成功している」という対話を重ね、内容を整理することで、次第に顧客の成功に寄与している項目が見えてきました。

「寄与していそうな項目が出たら、その裏付けをデータで取る」という過程を繰り返し、徐々に精度を上げていくことで、仮説が確かに合っていそうだというデータが見えてきたので「仮説をスコア化して定点観測しよう」と、ヘルススコアが固まっていった流れです。

初めから全てのデータを取ろうとすると効果的ではないデータが取れたり、データを取ること自体が目的化してしまったりということがよくあると思います。
そのため、ヘルススコアを作る時は、現場のCSの感覚や感性を元に仮説を置いて、それが正しい仮説かデータを集めて検証して組み立てることをお勧めします。

コロナでCSの在り方は変わったのか

今、新型コロナウイルスの影響でビジネスがリモート前提になっていると思います。それによって、CSの関わり方は変わりましたか。

CSの関わり方は、2つの観点で変えざるを得ない状況になりました。

1つ目は、大変ありがたいことに直近の新規流入数が想定以上に多いため、これまでの手法と人員ではオンボーディング支援を今までと同じように対応出来なくなる懸念があります。

また、仮にオンボーディングが完了しても、リソースを大きく超える顧客に対して支援が行き渡らなくなってしまうので、思い切ってやり方を変えなければいけない状況が起きています。

もう1つは、カスタマージャーニーの再整理が必要だったことです。

僕たちはベルフェイスの無償解放を3月上旬から5月末まで行っていました。
これは「コロナ禍で、ベルフェイスが出来ること」として、商談ができず困っている多くの方に無償で使って頂きたいという想いから打った施策でした。
そして、その期間終了後も継続利用を希望される場合はご契約頂く形になっています。

今までだと、提案から数日で契約するか否か判断して頂いて、契約後にオンボーディングを行い、使い方を覚えてもらうというステップでした。
しかし、今は2ヶ月間の無償トライアル中にベルフェイスの基本利用はもう出来ている状態でスタートすることになります。
マーケティングやセールスの段階で既にプレ・オンボーディングが始まっているので、これに合わせて契約後のプロセスも見直しが必要でした。
当社からの接し方、顧客の体験の工程が変われば、それに合わせてジャーニーも変更していく必要があります。
 

これからコロナが収束した後は、オンラインイベント主流の流れが継続されるのか、それともコロナ前に戻るのか、小林さんの予想はいかがですか。

本当に予測ですが、僕は「価値がひっくり返る」という感覚を持っています。

元々のイベントやコミュニティは「集まるもの」が基本で、たまにウェビナーを実施すると、それが”特殊”な感覚だったと思います。
でも今はウェビナーが普通で、多くの人が「もうウェビナーで良いね」となっているように感じます。

単純に考えて、コンテンツを享受するだけなら、移動に時間をかけたり、場所に拘束されずに聞けた方が便利ですよね。

でも、ウェビナーが広がれば広がるほど、人とのつながりや熱量を感じたり、いつも会えない人に挨拶をしたりということを含めてオフラインの特別感が高まって、「たまにはみんながオフラインで集まれる場があるといいよね」となる、そんな価値転換が起きそうだなと思います。

日本中を幸せに

最後に、小林さんが今後やっていきたいことやCSについての想いを聞かせてください。

(イベントで話す小林氏:小林氏提供)

新卒1年目の悔しい経験を経て、「CSが自分のやりたい事だ」と気付きました。
僕は、イベントで「ウィー・アー・ハッピー」とよく言いますが、お客様の成功に寄与することが自分にも返ってくるなんて、CSという仕事は本当に幸せなことだと本気で思っているんです。
顧客の成功が自社の成功。これって別に特別なことを言っていません。
ビジネスってそうあるべきですよね。なので「CSはビジネスのど真ん中だ」と思い続けています。

だから、こんなにも幸せなCSという概念が、日本に正しく、早く広まって欲しいと思っています。

CSの認知は、東京では広がってきている感覚もありますが、地方ではまだそんなに認知されていません。
他にも、会社から言われて理解やノウハウがないまま取り組んで成果を出せず、結局「CSは意味がない」と終わってしまう会社もまだまだ存在します。
この状態が続くと、CSがトレンドワードで終わってしまう可能性もあると思い、僕は危機感を持っています。

だから、CSに関わる理解や仲間の輪をどんどん広めるために、自分でCSイベントも開催しています。

こういう活動を通してCSの認知が広がって、みんながCSに正しく向き合おうとした際に、「どこを真似したらいいんだろう」「どこの会社のCSがすごいのか」となった時の1社に、ベルフェイスが挙がれば、嬉しい。

そこでベルフェイスが名指しされるのは、ベルフェイスの顧客が成功してるからだと思いますし、一緒に戦ってくれているメンバーのキャリアも輝きます。
なので、「ベルフェイスのCSを日本一にしたい」という想いを持ってCSに取り組んでいます。

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執筆:cxin

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