コミュニティマネージャーとは?役割と求められるスキルを解説

2023-09-26 コラム

アメリカを中心に、海外では「コミュニティマネージャー」という職種の将来性が期待されています。日本ではまだ聞き慣れない人が多いこの職種ですが、実は日本のビジネスにおいても重要な役割を担うであろう職種として注目されつつあるのです。そこで、コミュニティマネージャーの役割や適性などについて解説します。

コミュニティマネージャーとは

コミュニティマネージャーとはのイメージ画像

「コミュニティマネージャー」とは、コミュニティマネジメントを手掛ける役職、またはそれを担当している人のことです。

コミュニティマネジメントとは、特定のコミュニティを管理(マネジメント)することをいいます。言葉の意味からするとさまざまなコミュニティがその対象となりますが、昨今の情勢を鑑みると、いわゆる「オンライン」の領域(SNSなど)がマネジメントの対象になるケースが多いです。

昨今、コミュニティーマネージャーはアメリカで最も注目される「新しい職種」のひとつです。FacebookやTwitterをはじめ、Web上に確認できるあらゆるオープン型コミュニティを「安全な場」としてマネジメントする存在として活躍します。

従来型の職種のように、特定の学位をとったからその資格があるというわけではなく、経験の面においてもこれといって決め手となる必要条件があるわけでもありません。もちろん、コミュニティマネージャーとしての「適正」や「求められるスキル」はありますが、逆にそれらを持ち得るのであれば特定の資格や学歴を必要とせず、誰でもコミュニティマネージャーとして活躍することができます。

マーケティングとコミュニティの関係

コミュニティマネージャーが関わることになる「コミュニティ」は、企業活動の中でも重要なアクションの1つである「マーケティング」とどのように関わるのでしょうか?

どうやってこの広い世の中から「使いたい」「自分と関係がある」と思ってくれそうな人を見つけるか、そのための有効な手法の一つが「共通の関心軸」を持つ人が集まるコミュニティを活かしたマーケティングなのです。

SNSが普及し、多くのユーザーがTwitterやインスタグラムといった領域において情報発信・情報共有を行っています。その影響はすさまじく、いわゆる「バズる」「炎上」などの爆発的な情報拡散の影響は企業活動においても無視できない存在にまで成長しました。

こうした領域において発生するコミュニティには、少なからず「共通点」が存在します。例えば「〇〇のファン」「△△を趣味としている」といった共通点です。そうした共通点を持つコミュニティにおいて、適切に情報を発信し、共有してもらうことにより、商品・サービスの認知やトラブルシューティングなど、顧客体験のさまざまな段階においてユーザー間での「熱の高まり」をコントロールまたは活性化することができるのです。

マーケティングにおいても、コミュニティからユーザーの現状を知り、自社の方針決定を左右する情報も得ることができます。しかし、それはあくまでも「健全に機能しているコミュニティ」であることが不可欠です。間違った情報が横行しているコミュニティでは、所属するユーザーは正しい情報を共有していません。

そこで活躍するのが、コミュニティを正常に機能できるようにコントロールする役割をもったコミュニティマネージャーなのです。コミュニティマネージャーは適切な情報を発信してユーザー間のやりとりを活性化すると同時に、間違った情報が発信されている状況を放置しないためにユーザーの行動を監視し、必要に応じてユーザーに対して適切な処置を行うことを主な行動内容としています。

コミュニティマネージャーに求められる知識

コミュニティマネージャーには特別な資格や学歴、経歴などは求められませんが、以下のような知識を保有していると仕事の質を高めることができる可能性があります。

  • マーケティング/ブランディング
  • PR
  • 顧客サービス/テクニカル・サポート
  • 商品開発/品質管理
  • セールス/ビジネス開発

「マーケティング/ブランディング」の知識は、自社の求める情報を取得し、自社からの情報発信を適正に受け止められるコミュニティの醸成に欠かせません。

「PR」「セールス/ビジネス開発」の知識は、自社の商品やサービス、ブランドをいかに魅力的にアピールし、販売等に関する情報をわかりやすく説明できるかを左右します。

「顧客サービス/テクニカル・サポート」「商品開発/品質管理」の知識は、コミュニティ内でユーザーが求める情報を適切に取捨選択し、情報発信・情報訂正できるかを左右します。

ただし、コミュニティマネージャーが必ずしも上記の知識を網羅していなければならないというわけではありません。コミュニティマネージャーに対して何の分野において特にフォーカスを当てて活躍してもらいたいか、それに応じて必要な知識・経験を備えた人材がコミュニティマネージャーとして選任されることになるでしょう。

企業がコミュニティを持つメリット

企業がコミュニティを持つメリットのイメージ画像

コミュニティマネージャーは自社のコミュニティを仕事の領域としますが、では、企業が自社コミュニティを持ち、コミュニティマネージャーにその管理を任せることにどのようなメリットがあるのでしょうか?

顧客エンゲージメントの向上

1つ目のメリットは「顧客エンゲージメントの向上につながる」ことです。

企業が自社コミュニティを構築・管理することは、顧客が企業とつながる「場」を提供することになります。顧客を獲得し、自社に結び付けておくためには、まず「自社について知ってもらう」ことが必要であり、「継続的な結びつきの場」としてコミュニティは機能します。

顧客の声の収集

2つ目のメリットは「顧客の声を集めることができる」ことです。

コミュニティ、特に企業関連のコミュニティにおいては、特定の商品・サービス・ブランドのユーザーが集まります。ユーザー同士で、または企業とユーザー間で商品やサービスに関するさまざまな意見が交換されるのです。

一般的な掲示板のようなコミュニティでは、自社に関する情報を選定するだけでも時間がかかってしまいますが(そもそも対象のコミュニティに自社関連の情報が発信されていない場合もある)、自社コミュニティであれば自社に関連する情報が中心にやりとりされています。

自社が提供する商品やサービスについて、顧客からのフィードバックを収集し、新規商品・サービスの開発や、既存商品・サービスの改善につなげることができるのです。

顧客とのコラボレーション

3つ目のメリットは「顧客とのコラボレーションの場になる」ことです。

これは2つ目のメリットに近い内容ではあるのですが、自社コミュニティを構築して運用することにより、場合によっては顧客が単なる顧客ではなく、自社にとって大きなメリットをもたらす存在になる可能性があるのです。双方のメリットにつながる新しいアイデアや、問題に対する解決策を編み出す「場」として、コミュニティが機能するのです。

場合によっては、顧客が持っているビジネスやコミュニティとコラボすることで、自社ビジネスやコミュニティをさらに成長させることができる可能性もあります。従来の手法であればそのチャンネルは限定的でしたが、自社コミュニティを持つことにより幅広い顧客に対してしてチャンネルを開放することができるのです。

エバンジェリズム

4つ目のメリットは「エバンジェリズム」に関することです。

エバンジェリズムとは本来は宗教に関する言葉なのですが、ビジネスの世界においては「自社製品・サービスのファンに変える」という意味で用いられます。

コミュニティでは、自社製品・サービスに関するさまざまな情報を発信します。今まで自社製品やサービス、企業名すら知らなかった人でも、コミュニティに触れることによって少しずつ自社製品や企業について知識を深め、最終的にはファン化させることも可能です。

また、すでにファン化した顧客については、よりレベルの高いファンへの育成効果も期待できます。ファン化した顧客は、企業にとって「継続的な購買者になる」「良質な情報発信者になる」というメリットがあります。

ロイヤリティ向上

5つ目は「顧客のロイヤリティを向上させる」ことです。ここで言うロイヤリティとは、企業や商品・サービスに対する「愛着」や「信頼」を意味します。

コミュニティを通じて顧客との意思疎通を密にすることで、顧客ロイヤリティを高めることができます。ロイヤリティの高まった顧客は商品やサービスの継続利用、リピート率の向上だけでなく、知り合いに商品・サービス・ブランドを推奨することによって新規顧客の獲得につながる可能性もあります。

コミュニティマネージャーに求められるもの

コミュニティマネージャーに求められるもののイメージ画像

次に、コミュニティマネージャーに求められる4つの役割について解説します。

コミュニティの推奨者であること

1つ目にコミュニティの推奨者であることが求められます。

コミュニティマネージャーは、コミュニティにおいてユーザーを代表していることが必要不可欠です。コミュニティマネージャーは企業の人間ではありますが、同時にコミュニティに参加している個人として、そのコミュニティに所属しているユーザーの代表としてもふるまう必要があります。

ユーザーの代表としてコミュニティに所属するユーザーの意見をよく聞き、要求やニーズに応えなければなりません。つまりコミュニティに対して「企業の人間」として、同時に「コミュニティに参加している個人」としても、双方の立場という特殊な立ち位置として関わっていく必要があるのです。

ブランドの伝道者であること

2つ目にブランドの伝道者であることが求められます。

コミュニティマネージャーは、コミュニティにおいて商品・サービスを従来型のマーケティングと協議により販売促進していく役割を担います。その役割を果たすためにはブランドの信頼性を高めることが重要です。

コミュニティマネージャーがブランドの信頼を高めるためには、コミュニティにおいてコミュニティマネージャーが信頼されていることが望ましい状況となります。「伝道者」という表現は古風かもしれませんが、要するに「この人はブランドのプロである」と思われることで、コミュニティマネージャーが発信する情報の信頼性や価値を高めることができるのです。

コミュニケーションツールの知識を深めること

3つ目は「コミュニケーションツールの知識を深める」ことです。

コミュニティマネージャーはコミュニティという領域で活動することになりますので、さまざまなコミュニティツールについての知識・技術・応用力を持っている必要があります。コミュニティツールはさまざまであり、場合によってはツール同士のつながりについても把握しておく必要があります。

コミュニティマネージャーは、コミュニティ内で発生したトラブルについても対処しなければなりません。その際に適切な対処ができるようになるためには、コミュニティ内の専門用語や俗語などについての理解を深めている必要があります。

コミュニティの声を集めること

4つ目に「コミュニティの声を集める」ことです。1つ目の役割に似ているのですが、こちらの役割は「意見の集約と編集」という役割が中心になります。

コミュニティ内では、さまざまなユーザーが商品・サービスに関する不満をもらし、改善を要求します。特に、多くのユーザーが共通して「改善すべき」としているポイントは、すぐにでも改善しなければユーザー離れを起こすきっかけとなってしまいます。

コミュニティの声を集めて社内に対してわかりやすい言葉に言い換えて、商品開発やサービスの改善にすぐ反映させられる資質が求められるのです。

コミュニティ内での動き方

コミュニティ内での動き方のイメージ画像

最後に、コミュニティマネージャーはコミュニティ内でどのような動き方をするのが正しいのかについて解説します。

コミュニケーションを円滑に回す

コミュニティマネージャーは、コミュニティ内において「円滑なコミュニケーションを維持する」ことが必要です。

コミュニティにはさまざまなユーザーが存在しますが、必ずしも円滑なコミュニケーションが維持されているとは限りません。場合によってはケンカなどのトラブルが発生することもあり、そうしたトラブルはコミュニティの質を下げてしまいます。

コミュニティマネージャーは、ユーザー同士が健全にコミュニケーションを行えるように、ユーザーの動向を監視し、必要に応じて適切なアプローチをしなければなりません。また、停滞しているコミュニティがあれば、コミュニケーションの「起爆剤」となるような情報提供や適切なアクションを実施する必要があります。

コミュニティイベントの企画・管理

コミュニティマネージャーは、コミュニティ内でのイベントを企画し、運営・管理する必要があります。

コミュニティ内では情報交換だけでなく、さまざまなイベントを実施することでコミュニティの熱を高め、新規ユーザーを確保するきっかけになります。しかし、ユーザー間でイベントを企画し、適切に管理することは簡単なことではありません。

コミュニティマネージャーは、コミュニティのユーザーを代表する立場として、ユーザーにとって、同時に企業にとってもメリットになるようなイベントを企画・開催し、ユーザーの満足度を高めることでコミュニティの熱を維持し、高める役割を担う必要があります。

公式SNSの運用

コミュニティマネージャーは、「公式SNS」を運用することが求められます。

コミュニティ内だけでなく、コミュニティの外に対しても情報発信する必要があります。コミュニティが「外部からどう見られていくのか?」「どんなメッセージを伝えたいのか?」を考えて、公式SNSを運用する必要があるのです。

コミュニケーションツールの構築

コミュニティマネージャーは「コミュニケーションツール」を構築することも求められます。

コミュニティ内において、ユーザーがコミュニケーションを行いやすいように、適切なツールを提供し、必要に応じて修正・再設計を行います。コミュニケーションツールはコミュニティ内におけるコミュニケーションの基本・基盤となる存在であるため、適切な内容で提供することが求められるのです。

直接会う場を企画する

コミュニティマネージャーは、「直接会う場」つまり「オフライン」の設計についても手掛ける必要があります。

コミュニティが活発になると、ユーザーはオンライン上だけでは満足しないケースもあります。そうしたユーザー向けに、いわゆる「リアルイベント」や「オフ会」といった、オフライン上でのコミュニケーションの場を提供する必要があるのです。

必要な際は1対1のコミュニケーションをとる

コミュニティマネージャーは、必要に応じてユーザーと1対1のコミュニケーションをとる必要もあります。

基本的にコミュニティマネージャーは、ユーザーの代表として数多くのユーザーと同時に結び付きます。しかし、ユーザーに何かトラブルが発生すれば、ユーザー離れやコミュニティへの悪影響を防ぐために、該当するユーザーと1対1で対話する必要があるのです。場合によってはオフラインでのやり取りが必要になるケースも発生します。

不安要素を排除する

コミュニティマネージャーは、コミュニティ内の「不安要素」を排除する役割を担います。

コミュニティが大きくなるほど、さまざまな人がコミュニティに参加してきます。場合によっては、その中に「コミュニティの健全な運営の妨げになる人」も混じっていることもあります。コミュニティを乱す要素があれば、時には強力な姿勢でこれを排除することも必要だと覚悟しなければなりません。

ファーストペンギンの役割を担う

コミュニティマネージャーは、いわゆる「ファーストペンギン」の役割を担う必要もあります。ファーストペンギンとは、集団において経験のない行動を率先して行い、他のユーザーの行動を促すアクションのことをいいます。

コミュニティユーザーの間で「〇〇してもいいのかな?」という不安があると、場合によってはコミュニケーションの幅を狭めることになる可能性があります。もちろん、あらゆる行動がコミュニティにおいて認められるわけではありませんが、コミュニティの代表としてコミュニティ内で認められる行動であるならば率先して行い、ユーザーの不安を解消する必要があります。


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cxin

株式会社Asobica cxin編集部。
コミュニティやファンマーケティングに関するノウハウから、コミュニティの第一人者へのインタビュー記事などを発信。

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