昨今、多くの企業や組織において「ナレッジワーカー」と呼ばれる労働者の存在が注目されています。本記事では、ナレッジワーカーの定義や求められるスキルについて解説します。ナレッジワーカーになることで職場での活躍の幅を広げることができるため、ぜひ参考にしてください。
ナレッジワーカーの定義
「ナレッジワーカー」とは、専門知識や特別な経験を活かして知的生産を行い、企業に新しい価値を生みだす労働者のことです。「知的労働者」ともいいます。
その対義語として「マニュアルワーカー」と呼ばれる労働者が存在します。マニュアル（既定の手順）に則して働く労働者のことを意味しており、決められた仕事を効率よくこなすことを基本的な目的としています。
ホワイトカラーとの違い
知的な仕事を行うという意味では、いわゆる「ブルーカラー」と呼ばれる労働者よりも「ホワイトカラー」と呼ばれる労働者が意味合い的には近いように感じられるかもしれませんが、ナレッジワーカーとホワイトカラーは同一の意味ではありません。
重要なことは、「与えられた仕事以外に新たな付加価値を生んでいるかどうか」ですホワイトカラーの中でも、一般的な事務職のように単調な仕事をこなす労働者は、前述の「マニュアルワーカー」に分類されます。ナレッジワーカーに求められるのは「新しい価値の提供」であり、それぞれ担うべき仕事や責任が大きく異なるのです。
ナレッジワーカーが注目されている理由2つ
ナレッジワーカーが注目され始めたのは、現在の時代背景にあるといえます。
技術の発達により「知識」への価値が上がった
ナレッジワーカーが注目された大きな理由は「知識の価値が向上した」ことにあります。
かつて「行動成長期」と呼ばれた時代、いわゆる「作れば売れる」という時代には生産性を向上させるためのマニュアルワーカーの存在が重宝されていました。労働時間や同一時間での仕事量を増やすことで生産性を高め、それが売り上げに直結する時代には、労働力や効率性などが重視され、マニュアルワーカーの存在が何より重要だったのです。
ところが時代は進み、ネットワーク技術や金融工学、コンピューター技術が発展したことにより、ビジネスの中心が徐々に「製造業」から「通信サービス」へと移行していきました。昨今「労働者の仕事はロボットやAIに奪われるようになる」という風潮が浸透しつつあり、単純労働力や生産性は人の手によるものではなく、発展した技術に置き換わるようになったのです。
そんな中で消費者のニーズに企業が応えるために労働者に求められるようになったのは、既製品を次々に生み出す労働生産性ではなく、新しい価値やサービスを提供することにシフトしていったのです。さまざまな知識を集約することで新しいサービスを生み出し、今まで気づかれていなかった問題点・改善点を洗いなおすことによるブラッシュアップにより、付加価値の高いサービスを次々に生み出すためのナレッジワーカーの存在が注目されるようになりました。
「知識」が商品となる時代になった
ナレッジワーカーが注目された理由には、モノやサービス（体験）などとは別に、「知識そのもの」の商品価値が高まったことも関係します。
コンサルタントサービスや、「note」などの知識が商品化されたサービスなどがわかりやすい例です。経営や集客、管理、運営など事業の生産性を高めるための知識に商品価値があり、そのような知識を持つナレッジワーカーに対する注目が高まりました。
ナレッジワーカーが活躍している職種例
では、そんなナレッジワーカーがどのような職業においてどんな活躍を期待されているのかについて、2つの職種を例に解説します。
コンサルタント
クライアントの相談に対して問題解決やさらなる発展のためのアドバイスを行うコンサルタントは、クライアントの社内外に存在するさまざまな情報を集約して分析し、最適な解決方法を提案する仕事を行います。このような業務スタイルは、ナレッジワーカーの代名詞ともいえる働き方です。
アナリスト
金融ディーラーの仕事は、高度な金融・経済の専門知識を求められます。実力勝負の世界であり、情報収集・分析能力だけでなく、日々の研究が必要不可欠な職業でもあるのです。コンサルタントと同様にナレッジワーカーが活躍する代表的な職種の1つだといえます。
ナレッジワーカーに必要なスキル3つ
ナレッジワーカーになる上で、どのような職業においても重要となるスキルを3つ紹介します。
情報収集能力
ナレッジワーカーの武器は「情報・知識」ですが、それらを記憶しておくことはもちろん強みになりますが、何よりも「情報を収集する能力」が問われる仕事でもあります。
ナレッジワーカーの仕事をこなすために必要な情報の中には、最新の情報も含まれています。その時その時の課題の解決に対して必要な情報を、いかに迅速かつ正確に収集できるかは、ナレッジワーカーが仕事をこなすための武器の品質に大きく関わることになるのです。
場合によっては、専門外の知識を求められることもあります。その時、どんな方法で情報収集するべきか、誰に相談すれば良い回答を得られるかを把握しておくことも、ナレッジワーカーの強みとなる情報収集能力の1つといえます。
分析能力
ナレッジワーカーとして活躍するためには、集めた情報を分析して現場に落とし込むための「分析能力」も欠かせません。
情報はあくまでも情報でしかなく、それ自体がビジネスに直接影響するわけではありません。例えば「先月は〇〇に関するクレームが××件発生した」という情報は、あくまでも数値情報でしかなく、その内容・数値が現状の課題を解決するためのどういった参考になるのか、どういった分野で活かすべきなのかを考えなければ意味がありません。
場合によっては、大胆な考え方を求められることもあるでしょう。他人でも簡単に思いつくアイデアを創案したところで、ナレッジワーカーの本分とはいえません。ナレッジワーカーの本分は「新しい価値を提供すること」であり、時には既存の体制やこだわりを大きく覆すような斬新なアイデアを提案することで企業の利益につなげる姿勢も必要になるのです。
コミュニケーション能力
ナレッジワーカーは知的労働者ですが、単に知恵を絞るだけがナレッジワーカーの仕事というわけではなく、その仕事の大半には「コミュニケーション能力」が問われることになるでしょう。
ナレッジワーカーが情報収集する際には、その道の専門家や従来の担当者、ときには他社の人間に対してヒアリングを行い、必要な情報を集めることが必要になります。また、創案したアイデアを具体的に現場にフィードバックするためには、「形式知」の形でわかりやすく担当者や経営陣に説明することも必要になるのです。
ナレッジワーカーが生み出した価値を、現実の商品・サービスにするには多くの労働力が必要になります。情報を集めて分析し、わかりやすい形でフィードバックするという流れには、多くの人との関りが欠かせないものであり、コミュニケーション能力の高さがその質に影響する可能性が高いのです。
ナレッジワーカーに必要なスキルを磨く方法3つ
もし、この記事を読んで「自分もナレッジワーカーになりたい！」と思うのであれば、以下の方法を試してみて欲しいと思います。
情報収集を習慣づける
ナレッジワーカーとして欠かせないスキルの1つ「情報収集能力」を養うためには、日ごろから情報収集を行うことを習慣づけることが重要です。
情報収集能力とは、いかに適切な情報を収集できるか、いかに多くの情報を効率よく収集できるか、これらの能力を高めることが必要です。日ごろからニュースを見る、専門家のSNSアカウントをフォローしておくなど、情報収集の土台を形成し、情報収集のコツをつかみましょう。
論理的思考を繰り返し実践する
ナレッジワーカーに欠かせないスキルの1つ「分析能力」を養うためには、日ごろから論理的な思考を繰り返して実践する癖をつけておくことが望ましいです。
正しく分析するためには、主観を可能な限り捨てて、客観的に言語化したデータとして結果を出す必要があります。主観や経験則に基づいた「暗黙知」と呼ばれる知識では、万人に等しく説明することは難しいです。論理的な思考を繰り返すことで常習化し、ナレッジワーカーに必要な分析能力の質を高めましょう。
コミュニケーション能力の高い人物を真似る
ナレッジワーカーに必要なスキルの1つ「コミュニケーション能力」を高める方法はさまざまですが、例えばコミュニケーションの上手な人の真似をすることも有効な手段の1つだといえます。
「真似」と聞くとずるい手段というイメージを持つ人も多いですが、そもそも「学ぶ」という言葉の語源は「真似ぶ（真似る）」なのです。ときには自分と180度正反対の行動や考え方がコミュニケーションのために必要なこともありますが、知識として学ぶよりも実践的な真似る行動の方が、手っ取り早く修得できることも多いです。
解約（チャーン）防止や、LTV向上のためには、まずは適切なカスタマーサクセスのやり方を把握し、効率的に課題解決を進めていく必要があります。
CXinでは、カスタマーサクセス体制構築のお手伝いとなるよう、実際のカスタマーサクセス現場の声をもとにした【カスタマーサクセス白書】を無料配布しております。ぜひご活用ください。
