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既存顧客取引額UPの秘訣は、CSの組織体制にあり

本記事は「成長中SaaSのカスタマーサクセスの中を覗いてみよう」の第3回です。

カスタマーサポート特化型AI搭載チャットボット「KARAKURI chatbot」は、2018年の正式リリース以降、メルカリやWOWOW、SBI証券など大手BtoC企業を中心に続々と導入されている急成長中のSaaSです。

今回はカスタマーサクセス(以下CS)部門を統括している取締役の鈴木さま、カスタマーサクセスマネージャー(以下CSM)のリーダーを務める岸本さまにお時間をいただき、カラクリ社独自のCSの取り組みについてお聞きしました。

カラクリ株式会社 取締役 VP of Customer Success 鈴木 奨平 氏
新卒でCCCに入社し、TSUTAYAの店舗運営コンサルティングやマーチャンダイジング、旗艦店立ち上げなどを担当。その後、コンサルティング会社、ソフトバンクのグループ会社で、新規事業開発、マーケティングなどに従事。2016年に起業し、大学生向け海外インターンの研修講師や、様々な企業の新規事業開発、マーケティング支援を実施。2016年10月にカラクリに参画。好きな食べ物はラーメン、肉料理、いちご。趣味は阪神戦観戦と温浴施設巡り。
カラクリ株式会社 CS Management Unit Leader 岸本 拓也 氏
営業、IT系のアウトソーサーを経て2017年9月より顧客管理システムCoubic(現STORES予約)にて、カスタマーサクセスチームの立ち上げメンバーとしてjoin。2019年6月よりカラクリに入社。好きなものは音楽とキャンプと自転車とお酒。

CS Profile@カラクリ

ツールだけでなくソリューションを提供する会社

ー はじめに、会社とプロダクトについて教えてください。

鈴木我々はおもにBtoCのお客様にむけて「カスタマーサービス業務のデジタル化推進SaaS」をシリーズ展開している会社です。売上拡大や顧客満足度の向上、コスト削減といったお客様自身のビジネスゴールを達成するために、伴走型でサービスを提供しています。

メインプロダクトであるチャットボット「KARAKURI chatbot」にはおもに2つの特徴があります。1つ目は、誰でも使いやすいUI/UX設計。とくにコールセンターにはパートや学生アルバイトの方も多く、ITリテラシーにバラつきがあります。そのような職場であっても誰でも簡単に運用できるよう、使いやすさをとことん追求しました。

2つ目は、「ツールを導入しておしまい」ではなく、お客様のビジネスの上流から支援するスタイルをとっていることです。ビジネス版RIZAPのようなイメージですね。お客様の部署で掲げているKGI/KPIはなにか、それらを達成するうえでの課題はなにか、これからどういう顧客体験を作っていきたいのかを、経営陣や部門長と対話しながら伴走しています。

既存顧客の取引額UPを実現した組織構成

ー 上流からの顧客伴走型支援はCSが担っているのでしょうか?CS部門の組織体制や業務内容について、具体的に教えてください。

鈴木大枠から説明しますと、まず会社組織は「ビジネス」「開発」「コーポレート」の3部門に大きく分かれています。さらにビジネス部門には契約前を担う「Sales & Marketing Team」と、契約後を担う「CX Design Team」の2チームが存在していて、僕は後者を統括する立場です。既存顧客の取引額や顧客満足度の全責任を負っています。

岸本鈴木率いるCX Design Teamは現在2つのユニットで構成されていて、僕はそのうちのCSMユニットのリーダーを務めています。業務内容は、ツール導入時のオンボーディングから成果を出すためのサポートまで、実務レベルでお客様と向き合うこと。メンバーは僕を含めて現在5名で、1人あたり10〜15社のお客様を担当しています。「チャットボット以外のツール導入もセットでおこなうか」「Salesforceなどお客様が利用中のツールと連携するか」など、導入時に必要な知識に応じて適切なメンバーに振り分けています。

鈴木もう1つのユニットは、いわゆる既存営業2名と、ロー/テックタッチな対応を行うカスタマーマーケティング/サポート1名で構成しています。弊社では既存顧客へのコンサルティング営業職のことを「カスタマーサクセスプランナー(以下CSP)」と呼んでいまして、中長期的な視点でお客様と向き合い企画提案をおこなっています。弊社の特徴でもある「上流からの顧客伴走型支援」は、おもにCSPが担当している領域ですね。

2021年4月からは、1社に対してCSM1名+CSP1名の計2名を担当につける形でお客様を支援しています。

ー 既存営業であるCSPがCS部門に内包されるのは珍しいですよね。どのような意図でこの体制を敷いているのでしょうか?

鈴木:もともとは新規/既存関係なく営業はみな Sales & Marketing Team に所属していたのですが、課題がいくつかあったんです。たとえば、CSMはやはり実務レベルの支援が中心となるため、中長期的な課題解決を見据えたコミュニケーションに個人差が生じていました。また、「このお客様はもっとお取り引きを拡大できそう」というニーズが生まれても、部署が分かれているために対応が出遅れてしまったことがあったんです。

さらには、顕在的なニーズが見つかって初めて既存営業が動くという流れだと、お客様もきっと「あぁ、この人は営業をかけるために出てきたんだな」と思うじゃないですか。であれば、契約後のフォローは1つの部門に集約して、ふだんからお客様に向き合う体制をとったほうがいいだろうと判断しました。実際にこの体制になってから既存顧客の取引額は伸びており、成果につながっていると感じますね。

「CSは全社で取り組もう」と願いを込めたネーミング

ー 「CX Design Team」という呼び名にも独自性を感じますが、部門の立ち上げから現在に至るまでの変遷をぜひ教えてください。

鈴木:プロダクトリリース当初は月額9,800円でいろんな人に使ってもらおうとしたこともあったのですが(笑)、あらゆる試行錯誤を経て、ガッツリ上流から支援しつつ月6〜7桁の価格帯でサービスを提供していこうと決めたタイミングがありました。このときから「CSにはしっかり取り組む必要がある」と経営判断し、現在もなお投資を続けています。人数でいうと開発部門の次に多い部門ですね。

また、もともとは他の企業と同じく「Customer Success Team」という名前でやっていましたが、しばらく経ったころに「このチームだけがCSを担っている」というセクショナリズムが生まれはじめてしまったんです。僕ら経営メンバーは「CSは全社で取り組むべきものだ」と考えていたため、チーム名の変更に至りました。また、会社のバリューにも「Scrum CS」という言葉を掲げ、評価制度にも組み込み、全社でCSをやっていこうというカルチャーを醸成しています。最近だと他部門のメンバーにも「お客様に寄り添った対応」がより一層浸透してきていると感じますね。

カスタマーサービス=コストセンターというイメージを払拭せよ

ー CX Design Team のミッションと、追っている指標を具体的に教えてください。

鈴木:半期ごとに変わってしまいますが、現在掲げているミッションは「お客様とともに新しいカスタマーサービス像を具現化する」ことです。……いまでこそサブスクリプションモデルの台頭により重要性は高まっていますが、過去を遡ってみるとカスタマーサービスは「コストセンター」と呼ばれ、比較的肩身のせまい仕事でした。僕たちはこうした従来のカスタマーサービスのイメージを払拭し、新しいあるべき姿をお客様と一緒に作っていきたいと考えています。

このミッションに対し、具体的に追っている指標はいくつかあります。優先度が高いものは「新しいカスタマーサービス像を具現化したモデルケースの創出件数」「既存顧客における売上継続率」「ヘルススコアの達成」「お客様からお客様への紹介件数」の4つですね。

ー ヘルススコアにはどのような項目が含まれますか?

岸本:ヘルススコアはまさに僕たちCSMが最も追いかけている指標なんですが、「ツールの活用度合い」「成果の達成度合い」「お客様と我々の関係性」「リスク(お客様社内でのトラブルや人事異動)」という4つの観点で設計されています。それぞれの項目に対して「良い」「ふつう」「悪い」で評価しながらお客様の状態を定期的にチェックして、スコアが悪ければ改善提案をおこなうようにしていますね。

「目の前のお客様を満足させる」だけでは強いCSになれない理由

ー 強いCS部門を作るために意識していることはなんですか?

鈴木:僕はチーム内に「三方よし」の価値観を根付かせることを強く意識しています。CSはつい「目の前のお客様が満足してくれること」に注力しすぎてしまうのですが、本来ビジネスはそのお客様だけでなく、社会、そして僕たち自身もよい状態でなければ続けられません。極論お客様だけが得をして、世の中に悪い商品が広まったり、僕らが疲弊して赤字になったりしてはならないんですよね。お客様優先で考えることは大切ですが、対社会・対自社も頭においてバランスを取りながら行動していってほしいと、メンバーには強く伝えています。ときには厳しい対応になったとしても、“お客様のためになること” をしてほしいですね。

岸本:イケてるCSとイケてないCSの違いはまさに「三方よし」の考え方をもっているかどうかだと感じています。「今は忙しくて対応できなくて……」というお客様の声を聞き入れた結果なにもサポートせず、結局あとになってお客様が困る、なんてケースはよく起きます。三方すべていい状態にもっていくのは非常に難しいことですが、それでも、そこを考えきれる人こそがイケてるCSではないでしょうか。

あとは僕自身、「Think deeply Act quick(※quickはquicklyより速い強調表現)」という弊社のバリューを大事にしています。口先だけで行動しないのも、考えなしに適当に動くのも、どちらも違いますよね。深く考え、どんどん改善していく。そんなチーム作りをしていきたいと考えています。

ー 最後に、カラクリ社のCX Design Teamに求める人物像を教えてください。

鈴木:大前提としては我々が掲げているミッションやバリューに共感し、カルチャーフィットするかどうかが大事だと考えています。そのうえで、学び続けられる、かつ結果にもこだわれる人。スタートアップという変化のはやい環境を楽しめる、整っていない環境を自ら提案して変えていってくれる人と、ぜひ一緒に働きたいですね。

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齊藤 麻子(まこりーぬ)

執筆:齊藤 麻子(まこりーぬ)

しばしばマーケティング関係の取材記事を書きます。本業は株式会社LIGのマーケター、ご縁あって複数の会社で副業中。

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