執筆:篠原 舞
ビジネス書のライティングをしたり、編集したりなフリーランス。Web記事はHR領域多め。その他、webメディアのディレクションやコミュニティ運営などもしています。
https://note.com/zaemon/n/nad6c6e51db0b
※ 当記事は連載「成長中SaaSのカスタマーサクセスの中を覗いてみよう」の第8回としてお届けします。 |
AIを活用したビジネス動画編集クラウド「Video BRAIN」。AIのサポートで誰でも簡単に高品質なストーリー性のある動画を数分で編集できるクラウドサービスで、2019年2月のオフィシャルリリース以降、あらゆる業界の動画トランスフォーメーションを支えています。
今回はVideo BRAIN事業部の立ち上げに関わり、現在はカスタマーエクスペリエンスのマネージャーを務める猪野 翔太郎様に、カスタマーサクセス(以下CS)の取り組みについてお聞きしました。
株式会社オープンエイト 猪野 翔太郎氏 エンタメ業界中心にリスティング広告のコンサルタントに従事したのち、2016年1月にオープンエイト入社。広告営業として大手総合代理店を中心に動画のアドネットワークを販売し、その後、おでかけ動画アプリ「ルトロン」のマーケティング、新規営業部の立ち上げに従事。2019年1月、Video BRAIN事業部の立ち上げからマーケティング、セールス、カスタマーサクセスを経て、現在はカスタマーエクスペリエンスグループのマネージャーとして1対Nの仕組みを構築、運営。 |
ーまずは「Video BRAIN」について教えてください。
猪野:Video BRAINは、AIのサポートで誰でも簡単に高品質なストーリー性のある動画を数分で編集できるクラウドサービスです。動画編集が未経験の方でも、パワーポイントを使うような感覚で簡単に動画を作ることができます。
オフィシャルリリースした当初はシンプルな動画しか作れませんでしたが、編集機能がどんどんアップデートされているので、最近では短時間でクオリティが高い動画が作成可能になりました。
ーどういった企業が導入されていますか?
猪野:業界や業種に偏りは特になく、規模も10名未満の企業からエンタープライズ企業まで幅広い方々に導入いただいております。導入傾向として一つ言えることは、アパレル系の企業など、自社の商品点数が多いお客様に多くご利用いただいていることだと思います。
商品紹介動画を作ろうとした時、商品の種類や点数が多いとどうしても動画の本数も増え、コストもかかってしまいます。ですが、VideoBRAINは月額定額制なので、動画は何本でも作り放題です。
また、外注するにせよ内製するにせよ、動画制作には時間がかかってしまいがちですが、VideoBRAINなら操作が簡単なので、動画制作に関するスキルが無くても短時間で作成できます。
さらに、動画施策の知識がなくても私たちカスタマーサクセスがしっかりサポートするので、導入企業様には安心してPDCAを回していただくことができます。
ーコロナといった外的要因において、導入先やニーズなどに影響はありましたか?
猪野:ありましたね。やはりコロナの影響でリモートワークが推進された時期は、これまで以上に数多くのお問い合わせをいただきました。
また、今までは商品・サービス紹介動画のニーズが多かったのですが、コロナ以降はこれまで紙ベースで訪問営業をしてる方々に向けて営業資料を動画化したり、社内研修が対面でできなくなった方々に向けてマニュアルを動画化したり、というニーズも増えてきました。
ーto C向けの動画だけでなく、to Bやインナー向けの動画など様々なシーンで動画を活用いただいているんですね。
猪野:はい。ただ、単に動画を作って終わりにするのではなく、どんな効果があったのかを定量的に把握する必要があるので、「Insight BRAIN(インサイトブレイン)」というSNS投稿・分析サービスも同時に提供しています。これは、作成した動画をSNSに投稿し、その反響を分析するサービスです。
Video BRAINで発行した配信タグをサイト内に埋めることで、サイト内の動画も分析することができる機能も現在開発中です。
動画コンテンツの企画・制作だけでなく、分析までをワンストップで実行することに注力しています。
ー現在のCS組織体制と業務内容を教えてください。
猪野:規模でいうと30名ぐらいの組織で、大きく4つのチームに分かれています。
1つ目はいわゆるCSのチームで、ここには20名程います。
2つ目は、カスタマーエクスペリエンスを担当するチームで、6名で運営しています。プロダクトUXの最適化やウェビナーの運営、CSが利用する資料作成、問い合わせ対応などです。また、アカウント発行、売上登録、請求書発行などのアドミン周りも担当しています。
3つ目は新しいツールの導入選定、社内研修、プロセス管理分析などCS全体のオペレーション強化を担当しているチームで、ここには2名所属しています。
4つ目がデータチームで、3名でデータ基盤の構築を担当しています。プロダクトの利用状況やCS担当が活動している内容を取りまとめ、顧客ごとのヘルススコアを算出したり、データの民主化を推進しています。
セールスが案件を受注してからがCSの領域になっております。アカウント発行からキックオフMTG、毎月の定例会やビジネスレビューなど一連の業務をCSが担当しています。また、顧客からの機能要望などを開発サイドに連携をする重要な役目も担っています。
ー今の体制になったのはいつ頃ですか?
猪野:実は先月からなんです。CS自体はリリース当初からあったんですが、当時は操作方法の説明や動画に必要な素材集めなど、お客様対応を1〜2名で行っていました。
ただ、初年度に契約いただいたお客様が更新のタイミングで一定の定量効果が出せていない場合は解約になるケースもあるため、2020年1月に本格的にCS組織を立ち上げることになりました。
ー立ち上げ時、まず何を中心に取り組んだのかお聞かせください。
お客様の利用状況をちゃんと把握できるようにすることからスタートしました。月にどのくらいログインしていて、何本動画ファイルを作り、書き出し、ダウンロードしているのか。これらの数字をまず確認できるようにして、その上で数が不足しているお客様に活用促進をするようにしました。
― チームメンバーはどのように募ったのでしょうか?
基本的には社内から募りました。弊社は動画を扱っており、導入先も用途も幅広いため、それぞれの課題に個別の打ち手を提案するコンサルティング要素やアップセルやクロスセルを実現するための営業要素、動画施策を提案する際のマーケティング知識、更新時の交渉力など様々な要素がCSには求められるんですね。
だから初めはそもそもCS未経験だし、求められる要素も多いし、人数も少なくリソースが足りない状況だったのですごく大変でした。
その後、しっかりとリソースを投下し、顧客の成功によりコミットするために2021年7月にCSを増員し、現在の体制になりました。
― 現在掲げているミッションを教えてください。
ミッションは“顧客の成功”にコミットすることです。
“Video BRAINを通じて望まれる成果”+“顧客体験”の最大化を目指しています。お客様ごとに課題や実現したいことは本当に様々です。とにかく集客をしたい方もいれば、受注率を高めたい方、お客様からの問い合わせ工数を削減したい方、採用に繋げたい方、社内の教育工数を削減したい方…。各顧客の課題を捉え、顧客それぞれにカスタマイズされたソリューションを提供することに注力しています。
ーあらゆるニーズを持ったお客様に接する際、工夫されていることはありますか?
猪野:動画の良さをその場で実感してもらえるような工夫をしています。具体的には、新規のお客様との打ち合わせ時や、ウェビナーでは必ず自己紹介動画を流しています。
例えば僕のダンスシーンを見て「僕もダンスやってたんです」と会話のきっかけになったり、「自己紹介動画っていいですね」と言われたら「名刺がわりにこのような動画を作って、営業シーンで活用するのはどうですか?」と提案に繋がったり。動画の良さを実感していただくことでその後のコミュニケーションがスムーズになり、よりお客様の課題を深掘りすることができます。
―だからこそお客様のニーズに合ったソリューションの提案が実現できるんですね。では、現在追っているKPIを教えてください。
メインのKPIは更新率です。その他にも顧客との打ち合わせ回数や決められたヒアリングシートをどれだけ埋められているかなども行動KPIとして追っています。また、3ヶ月に一度先方の実務責任者と現状と課題の確認や費用対効果などを話し合うビジネスレビューも行うようにしています。
―KPIはCS組織立ち上げ時から変わっていませんか?
猪野:大きくは変わっていませんが、アップセルやクロスセルはあまり追わなくなりました。本来解約を防ぐことが重要なのに、それらに比重を置いた結果、利用状況が上がらず更新率が下がってしまいました。アップセルばかりに気を取られて、本当にお客様が望むことを見失ってしまっていたんです。その反省を踏まえ、現在はメインKPIを更新率としています。
ー7月より新体制になったとのことですが、チームビルディングにおいて意識していることを教えてください。
猪野:先ほどお伝えした、“各顧客の課題を捉え、顧客それぞれにカスタマイズされたソリューションを提供する”となると、ハイタッチにならざるをえなくなり、さらには個人のスキルに依存してしまいがちです。
このような状況ですと、CS担当に負荷がかかったり、顧客対応レベルにばらつきが出たりするため、これまでは1顧客に対して1CS担当だった体制をマネージャー以上が必ず同席し、 1顧客に対して2~3名体制に変更しています。
この体制にして間もないので、結果はまだわかりませんが、CS担当の負荷の軽減や顧客対応レベルの均一化を目指しています。
さらに、CS担当がOJTのような形でマネージャーから顧客対応を学べるという狙いもあります。
ー最後にオープンエイト社のCSに必要な資質や求める人物像を教えてください。
猪野:私たちのVISION、MISSIONに共感できる人、また、私たちが大切にしている行動指針に沿って行動できる人がいましたら是非、一緒に働きたいと考えています。
個人的には特に行動指針がすごく大事だと思っています。
弊社はまだ創業から7年目の若い企業です。会社がどれだけ成長するか?という目線でCSチームをリードできるような方にジョインしていただけたらいいですね。
直近入社されているメンバーは即戦力として活躍していますが、必ずしもマーケティングの知識やCS経験が必要というわけではありません。
CSの組織ができて1年以上経過したこともあり、徐々にCSが利用するコンテンツやワークフローも整理されてきているため、新卒2年目のメンバーもしっかりと顧客対応できてきているので、そこは未経験でも安心してチャレンジいただきたいです。
私自身も何度もミッションが変わってきましたが、変化を恐れず、ポジティブに捉えチャレンジできる人、仲間を大切にできる人であれば必ず活躍できると思います!
https://open.talentio.com/1/c/open8/requisitions/detail/21297
執筆:篠原 舞
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