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目指すは「チャーンレート0.9%未満」。挑戦を止めないヤプリCSのこれまでとこれから

本記事は「成長中SaaSのカスタマーサクセスの中を覗いてみよう」の第5回です。

ノーコードで開発・運用・分析ができるアプリプラットフォーム「Yappli」を提供する株式会社ヤプリ。同社は、行動指針「Yappli Way」の中に「カスタマーサクセス」を掲げたり、「Customer Success Day」という全社員参加型のイベントを実施したりするなど、全社一丸となって顧客の成功に向き合っています。

今回はその核を担っているカスタマーサクセス本部 本部長の市川さまに、カスタマーサクセス(以下、CS)の取り組みについてお聞きしました。

株式会社ヤプリ カスタマーサクセス本部 本部長 市川 昌志氏
AppleにてBtoBtoC営業を経て、ブレインパッドにてデジタルマーケティングのソリューション営業。オラクルにてBtoC向けマーケティングオートメーションの立ち上げを推進し、後にカスタマーサクセスを経験。
その後、ヤプリではオンボーディング後のカスタマーサクセス部立ち上げから始まり、2020年7月にオンボーディング以降を担当するカスタマーサクセス本部の本部長に就任し、顧客の成功に向けた仕組み作りを統括。

CS Profile@ヤプリ

BtoCに留まらず、導入領域を広げるアプリプラットフォーム

ー まずは「Yappli」について詳しくお聞かせください。

市川:Yappliはアプリ開発・運用・分析をノーコード、つまりプログラミング不要で提供するアプリプラットフォームです。店舗やEコマースなどのマーケティング支援から、社内や取引先とのコミュニケーションをモバイルで刷新する社内DX、バックオフィスや学校法人の支援まで、幅広い業界の課題解決に活用されています。おかげ様でアプリ導入実績は500社を超えています。

― どのような企業が多く導入されていますか?

市川:メインは小売などBtoCのお客様ですが、直近1年はDXの流れもあり、BtoB領域のお客様からの引き合いも増えてきております。

ディレクター・デザイナー・CSが一気通貫でお客様を支援

― 現在のCS組織体制と業務内容を教えてください。

市川:今後編成は変える予定ですが、現在CS本部はディレクション部、アプリデザイン部、CS部、カスタマーマーケティング部の4つに分かれています。(※2021年7月に組織変更を実施済み)

ディレクション部、アプリデザイン部、CS部が、1対1でお客様を支援していく部隊だとすると、カスタマーマーケティング部は1対nでお客様を支援していく部隊です。例えばメールマガジンやアンケート、オンライン・オフラインイベントなどを総合的に見ていく部隊なので、1対nという表現の仕方をしています。

― CS部に紐づいている「Customer Success Manager」「App Marketing Consultant」「Operation」はそれぞれどういった役割を担っているのですか?

市川:Customer Success Managerは運用フェーズに入ってからお客様のご支援させていただく部隊です。

App Marketing Consultantは「お客様がリリースしたアプリをいかにエンドユーザーにダウンロードしていただくか」を支援していく部隊です。アプリをインストールしてもらうための広告施策や、アプリストア内の検索順位上昇などの改善を行うASO対策を行っています。

Operationはカスタマーサクセス部に属していますが、CS本部全体で活用するツールの基盤を整えていく部隊です。ツールの一例としてSalesforce Sales Cloudがあります。

― ディレクション部とアプリデザイン部もCS組織の中にあるんですね。

市川:こちらの2つはCS本部が立ち上がる前からある部隊です。今の組織になった経緯をお話ししますと、まずSaaSのサービスとしてYappliを立ち上げた2013年当初は、自分たちでアプリを作って自分たちで運用する、いわゆるセルフサーブ型を念頭に置いたプロダクトでした。当時はSaaSと言えばセルフサーブ型の時代だったためと聞いています。

ただ、お客様自身がアプリを作るとなると、AppleやGoogleの審査を通るようにUI/UXを洗練させなければならないなど、ハードルが高くなります。そうなると、せっかくYappliを導入してもらったものの、アプリがリリースできなかったり、リリースしてもお客様が納得できなかったりし、満足度が高い状況とはなっていなかったのです。

― 「こういうアプリが作りたい」と明確にイメージがあるお客様ほど、出来上がりのクオリティを重視しそうですものね。

市川:そこでディレクターとデザイナーが、初期の制作段階からプロジェクトとして構築するやり方に変えました。この取り組みで、クオリティが担保されたアプリをお客様に提供し、運用していただけるようになりました。つまり、オンボーディングの質を高めたのです。

しかしながら、次は新規のアプリ数が増えていくことで、ディレクターがアプリリリース済みのお客様に対してフォローアップをするのが難しくなってしまいました。そうすると顧客満足度が下がって、解約に繋がってしまう。そこで2017年の終わり頃、黒田(黒田 真澄氏:同社取締役)が、別のメンバーと3人でCSチームの立ち上げをしたという経緯があります。

ただ、3人で全てのお客様に対応することはやはり厳しく、CSチームの再構築をする必要が出てきました。私が入社したのはこのタイミングで、2018年5月のことです。そしてCustomer Success Managerの部隊を作りました。

それから、よりアプリリリース済みのお客様を継続的にフォローアップできるように、主に新規のお客様の立ち上げ支援をするディレクター・デザイナーと、お客様を継続して支援するCustomer Success Managerが統合して今のCS本部へと変化をしていきました。

外部要因に左右されず成果を上げる秘訣

― 最新の決算説明資料(2021年12月期 第1四半期 決算説明資料)を見させていただいたのですが、「既存顧客からの売上はコロナ禍においても拡大基調」など、そこまでコロナによるマイナスの影響は見受けられませんでした。何か工夫されたことはあるんですか?

市川:外部要因に限らず、私たちの部隊で重要なのは、「いかにお客様が継続いただける状態を作るか」ということです。本部のKPIとしても、チャーンレートを置いています。

継続いただくために「インフラ化」、「顧客の成功」、「人間関係」の3つを大事にしています。

例えばアパレルのお客様の場合、アプリの立ち位置はオンラインストアと店舗を繋ぐハブの役割になることが一般的です。基本的にアプリにはロイヤリティが高いエンドユーザーが集まってきます。さらに、店舗で購入した際にアプリにて会員証が提示できたり、行動データが連携されていたりすると、システム的にも密に紐づいている状態になるので、アプリ自体がインフラのようになくてはならないものになっていきます。これが「インフラ化」です。

「お客様の成功」とは、例えば店舗やECでの集客・売上などの成果指標への貢献ができている状態を指します。

「人間関係」ももちろん大事ですが、インフラ化と顧客の成功があってこそ意義があるものだと考えています。

一番コアの「いかにお客様から継続利用いただける状態を作るか」をどう守るかが重要なので、コロナだから慌てるのではなく、この状況で何がお客様にとって大切なのかをちゃんと考えて提示していくことを大事にしています。

― なるほど。外部要因に左右されず、コアを大事にし続けているからこそチャーンレート1%未満を達成し続けているんですね。

市川:実は、今年からは「年間でチャーンレート0.9%未満」を目指しています。

― それはかなりチャレンジングな目標ですね!達成するために、どのような打ち手を考えているんですか?

市川:一つは、顧客体験の品質をさらに向上させることです。各部署がどんな取り組みをすると、よりお客様の体験向上ができるのかを突き詰めていきたいですね。CS本部内ではナレッジの蓄積を推進しているのですが、そのナレッジをお客様が気軽に確認できる仕組みを提供したいと思っています。また、情報を発信していく上で、情報発信チャネルの整備を合わせて行っていく予定です。

二つ目は、CSの社内広報を強めることです。蓄積したナレッジやお客様の声をどのように開発サイドに共有するかというのは、体系立ててやれるようにしていきたいですね。

私たちはあくまでお客様にサービスを使ってもらって収益を得ていますし、CSはお客様の成功にコミットして動いてる部隊なので、やはり主体は私たちのクライアントと、そのエンドユーザーです。こちらをもっと全社で意識できるような体制をしっかり作りたいと思っています。

簡単なことではないですし、私一人でできることではないのですが、挑戦しがいがあると思っています。

仕組みと采配でチームを強くする

― 強いCSチームを作る上でどんなことを意識していますか?

市川:成長フェーズによって異なりますが、今は主に二つあり、一つは新入社員のオンボーディングプログラムの再構築です。直近は組織の拡大スピードがすごく早かったので、再構築の必要性が出てきたんです。新入社員は、お客様との対面コミュニケーションは数ヶ月でできるようになるんですが、本質的に独り立ちするという観点で言うと1年近くかかってしまいます。そこをどうやって短縮化していくかが肝なので、かなり細かい粒度で、座学と実践プログラムの体系化を推進しています。

二つ目は、先ほどもお話ししましたがナレッジの共有です。ナレッジは属人化しやすいので、まずはそれらをSalesforceに蓄積し、他のメンバーが得た情報が確認しやすい状況を作っています。

こちらはまだまだ取り組みとしては道半ばなので、社内外ともに活用しやすい仕組みへ再構築していきたいと考えています。

― 最後に、ヤプリ社のCSに必要な資質や求める人物像を教えてください。

市川:ユーティリティ性と忍耐力がすごく重要だと思っています。

CSはプロダクトのことを覚えないといけないし、コミュニケーションも社内外両方と取らなければいけない。さらに私たちの場合は、例えばデジタルマーケティングの知見も必要になってきます。それらを以て、あらゆるお客様の状況を把握し、さらにそこから得たナレッジを他のお客様にも転用していくという多面性が求められるので、ユーティリティ性がある人はとても重宝されます。

また、CSはお客様の最終防波堤となることが多くあります。例えば何かトラブルがあった際に、しっかりと問題解決や関係回復に取り組まないといけない。だからそ忍耐力はすごく必要だと日々感じています。

これら二つが素地として求めていることではあるのですが、やはり個性をどう活かすかというバランスが重要だと思っています。弊社には様々なバックグラウンドを持つメンバーがいます。デザイナー、Webディレクター、広告運用、ECカートシステムのコンサル…。そういった個性を持つメンバーにどのような仕事をお願いすれば能力が最大化されるのかを念頭に、今後も個性を活かせる、楽しめる組織を目指していきたいと思っています。

「Yappli」の詳細情報はこちら
https://yapp.li/

株式会社ヤプリ採用情報はこちら
カスタマーサクセス (カスタマーサクセス職)
カスタマーサクセス(ディレクター職)
アプリデザイナー

篠原 舞

執筆:篠原 舞

ビジネス書のライティングをしたり、編集したりなフリーランス。Web記事はHR領域多め。その他、webメディアのディレクションやコミュニティ運営などもしています。
https://note.com/zaemon/n/nad6c6e51db0b

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