CXin(シーエックスイン)

目次

「コミュニティを活用してビジネスをグロースさせる」 メルカリコミュニティが担う2つの役割とは

月間1,500万人以上が利用する、日本最大級のフリマアプリ「メルカリ」を運営する株式会社メルカリは、「新たな価値を生み出す世界的なマーケットプレイスを作る」をミッションに、2019年9月には累計取引数5億件を突破しました。その莫大な取引を支えるコミュニティマーケティングチームのマネージャーを務める上村一斗さんにお話を伺って来ました。

上村 一斗 氏

株式会社メルカリ コミュニティマーケティングチームマネージャー

大学卒業後、カスタマーサポート業界に飛び込み、アウトソーサーとしてコールセンターのマネジメントを経験。2016年1月に株式会社メルカリにジョインし、グループ会社である株式会社ソウゾウの「メルカリ アッテ」CS立ち上げを担当。現在は、CSメンバーの採用・育成や社内研修を担当する部門でマネージャーを務める。

twitter:@UemuraKazuto

―まずは、自己紹介としてこれまでのキャリアについて教えて下さい。

僕は新卒から4年半、トランスコスモス株式会社でカスタマーサービス(CS)に配属されて、人材育成やコールセンターのクオリティコントロールをやっていました。その後、会社を辞めてフィジーに4ヶ月の短期留学をして、日本に帰って来てからは3つのコールセンターを掛け持ちして働いていました。その時に、CS業界は人材のレベルに差があって、他の専門職種と比べてもプレゼンスがとても低いことに課題を感じるようになりました。例えば、クレジットカード申し込みの際に職種欄が「その他」になってしまうこと等ですね。当時はカスタマーサービス(CS)と言っても伝わらないことがほとんどで、CSに関わって来た僕としては、そこに違和感を感じ、「CSは誇れる仕事だ」と子どもに言いたいなと思い、もう一度CSの業界にチャレンジするためにメルカリに入社することにしました。

ただ、メルカリに入社してからのキャリアは、殆どがグループ会社への出向でしたね。まずは、グループ会社ソウゾウの「メルカリ アッテ」のCSの立ち上げ、その後「メルカリ カウル」「メルカリ メゾンズ」の立ち上げを担って、1年前にメルカリ本体に戻って来ました。メルカリ本体には、当時400-500人のCSがいて育成が追いついていなかったため、CSHRといういわゆる部門内人事チームを立ち上げ、組織の要となるマネージャーやリーダーの育成計画およびコンテンツの企画・実施を担当しました。また、毎月入社する新入社員メンバーの受入研修も担当していました。コミュニティの話が立ち上がって来たのは1年前ぐらいですね。

―コミュニティの立ち上げは、どういう形で進んでいったのでしょうか。

メルカリでは、「リアルフリマ」や「メルカリカフェ」等、先駆けてリアルに染み出してはいましたが、その時はまだメルカリの認知がなかったので、メルカリ=フリマを認知して貰うための施策として使っていた形です。

現在メルカリの認知が上がっている中でも、直面している課題として、出品意向はあるにも関わらず出品出来ていないお客様が約3,600万人いることがわかりました。層としては、65歳以上のシニアや30代40代女性が多いですね。この人たちに使ってもらうために、どうしたら良いのかを考えた時に、僕らからリアルな場により染み出していき、ハイタッチではあるが、直接サポートするのは需要があるのではという話が出て、そこから、OMO(オンラインとオフラインの融合)プロジェクトが立ち上がりました。その中で、メルカリ教室や、先日メルカリカンファレンスで発表させていただいた「メルカリステーション」が派生していきました。「コミュニティチーム」もOMOプロジェクトから株分けする形で誕生した取り組みです。

―3,600万人の潜在ユーザーがいるから、そこまで踏み切れたというのはありますか。

そうですね。それと同時に、これまでのマスマーケティングでは、新規のお客さまを動かしにくくなっている現状もあります。もはや3,600万人の人たちは自分には関係ないものとして情報を遮断してしまっているので、届けるにはより戦略的なマーケティングが必要です。だから、この人たちに使ってもらうためには顧客理解を改めて進めていかないといけないなというところから、デモグラフィックやジオグラフィック、コミュニティでいうとサイコグラフィック的な観点で深掘りしていきましょうというのが元々のきっかけです。

あとは、メルカリジャパンCEOの田面木が「コミュニティをやりたい」と旗を振ったのが1番大きかったですね。田面木は元々CSでキャリアをスタートしているので、すごくメルカリを愛してくれている人たちの声を、直接、我々にとっては聞くこと、彼らにとっては言えることが大事だということを肌で感じていた人です。だから、「KPIやロジックではなく、直感でやるべきだ」と言ってくれたのは有難かったですね。とはいえ、経営視点ではコミュニティがどのように事業に貢献し得るのかを数字でも語れる必要があると思いますし、デジタルマーケティングに活用する上での接続点も共通言語として数字を用いる必要があります。

なので僕らの課題は、コミュニティ施策を実行した結果、KPIにどう繋がるのかをサイエンスすることだと思っています。例えば、オフラインイベントは一例ですが、参加してもらうことが継続利用につながるのか、お客さまの行動変容に影響をもたらすのか否かを仮説立てて、検証することです。コミュニティの価値を最大化させる上では、あらゆる企業活動と掛け合わせることが大事だと思っています。マーケティング部署にいるからといってマーケティングにのみ活用することを考えるのではなく、カスタマーサクセスやPR、プロダクトなど各セクションの課題解決や施策の良質化に寄与すると信じて取り組みを進めています。

外と溶け込むコミュニティ

―今現在のコミュニティはどういった形でしょうか。

コミュニティチームは、「コミュニティを活用して、ビジネスをグロースすること」を目的にしています。その上で、現在力を入れている方向性としては2つあります。1つ目が、メルカリ主体の場を活用してロイヤルユーザーを増やす取り組みと、2つ目が、外部の企業が持つ場と連携しながら、新規のお客様獲得に貢献することです。

前者は、「みんなのメルカリ文化祭」や「メルカリサロン」など、僕らが作った場でお客様にコミュニケーションを取ってもらいながら、「メルカリ好き」を溜めていきます。ここは愚直にお客様に会って行ったり、良さそうな人を記事にしてストーリーを拡散したり、PRで、「こういうお客様に語って欲しい」という時に出てもらったりしてブランディングに活用したりといった活動です。去年「メルカリハイ」という記事が出ましたが、座談会形式で行った記者向けの発表会に登壇いただいたお客さまもコミュニティチームから推薦した方ですし、宝島社から出ている「メルカリ本」に出ている人たちもコミュニティ活動で出会ったお客様が登場されたりしています。コミュニティ活動を通じて、メルカリのブランド価値を代弁してくれるような、いわゆるマイクロインフルエンサーを発掘していく活動も重要です。すでにメルカリ内では特定のファンを獲得している出品者がいますし、フォロワーがつくことで、趣味趣向が近しく、確実に購入してくれる常連客(ファン)になっていく動きが見られます。リアルでは、そういう人たちが繋がっていくような場作りが出来ると良いのかなと思ったりします。

外部との連携の部分では、去年は国内最大級のカメラ好き女子コミュニティである「カメラガールズ」さまとイベントでコラボレーションしました。背景として、そもそもカメラカテゴリは商品単価も高く、カテゴリとしてのポテンシャルがありました。その上で、新しいモデルやレンズを買い換える際の需要に対して、価値あるものを適正価格で売れないという課題やそもそもカメラの知識やテクニックが備わっていないという課題を解決できないかと考えました。そこで、カメラガールズが、カメラのワークショップをやりながら、メルカリを賢く使うことで、好きな趣味を楽しんでもらう手段があるよという話をしてもらい、僕らはその場自体をサポートしながら、安心安全にワークショップを楽しんでもらうことを試しにやってみました。

オンラインだと、バンダイナムコさまと「アイドルマスターシンデレラガールズ」のキャンペーンを実施しました。ファンベースの考え方をインストールし、どうしたらもっと愛されるキャンペーンになるかを試したところ、第一弾を実施した一昨年と比べて3倍ぐらいの反響でした。試行錯誤していますが、今年から公式Instagramの運用もスタートし、メルカリとお客さま、あるいはお客さま同士双方向にコミュニケーションが行えるソーシャル上での文化作りにも力を入れ始めています。

―僕の勝手な意見ですが、メルカリは無機質なイメージだったので「想い」にフォーカスしてコミュニティを作られていることに驚きました。「想い」で言うと、上村さんが書かれたコミュニティ創りのnoteには、大きな反響がありましたよね。

無機質なイメージは、よく言われます。勿論データドリブンではありますが、定性的なデータはほとんど今まで取りに行っていなかったので、そこが掛け合わされるとファンのスコアリング等、全方位的に使えるのではと思っています。難しいですが、コミュニティをやることだけが目的にならないようにしていますね。

noteに関して、本当はメルカリの公式オウンドメディアで出したほうが良かったですが、「みんなのメルカリ文化祭2019」に参加して下さった複数のお客様から翌日に「ブログ書いたので見て下さい」という熱いメッセージを頂いたので、ブログを書いてくれた方へのアンサー的に文化祭の背景をnoteに書きました。

―オフィシャル発信だと、どうしても面白味に欠けてしまう感じがするので、個人発信の方が気持ちは伝わりますよね。

メルカリは、社員が外に出て、そこで得た知見や経験を本体に持ち帰って通常の業務に活かすために副業がOKになっています。上述のような、個人のメディア発信も含めた活動が企業活動と相乗効果を生みます。例えば、部活動と言いながら社内コミュニティを作って、社員にもっと発信してもらえるような仕組み作りを有志でやり始めていたりもします。

オウンドメディアである「メルカリマガジン」では、ヒト軸やモノ軸で様々なコンテンツを作っています。これも掛け合わせによる価値の最大化の一つですが、コミュニティチームもコンテンツの共同企画・作成という形で編集チームと協業し始めているので、よりリアルなお客さまのストーリーも集まっていくメディアになっていくと思います。面白い記事ばかりなのでぜひチェックしてみてほしいです。

先頭を走る存在へ

―上村さんが個人として今後コミュニティを活用してやっていきたいことを教えて下さい。

あくまでコミュニティマーケティングは手段でしかないですし、トレンドで終わるのか、そうではないのかはチャレンジする中で見極める必要があるなと思っています。

1つ思うのは、お客様が「メルカリ好き」や「メルカリをやっています」ということを発信するのにハードルがないようにしたいと思っています。簡単、便利、安心、安全であることは当たり前のブランド体験として、お客さまの利便性を向上するための磨き込みを継続することで、機能的な価値を提供し続けていきたいからです。さらには、メルカリを通して生まれるコミュニケーションを大切にして、新しいライフスタイルを共有し合えるカルチャーをお客さまと一緒に作っていきたいと思っています。

そのためには、まずはオンラインのコミュニティや熱量のシェアを効率良くしていくような仕掛けや仕組みづくりを早い段階でしたいなと思っています。直近だと1月よりInstagramの公式アカウントもスタートしましたし、マーケティング組織全体としてコンテンツマーケティングも強化していくので、その辺りは楽しみにしていて欲しいです。

他には、コミュニティを活用してビジネスをグロースさせることに、よりチャレンジしたいですね。ビジネスである以上、コミュニティもどこかでデータと感情的側面を繋いでいくことが必要になります。そういう意味では、僕らはデータに強みがありますし、ツールも内製化しているので、コミュニティをサイエンスするための土壌は整っていると思っています。今は、CtoCサービスにおけるコミュニティ施策の事例を作り、ルールメーカーとして、「メルカリもやっているからやった方が良いよね」と言ってもらえるような取り組みをしていく責任があると思っているので、こうしたインタビュー記事などもコミュニティ担当者や経営陣にとっての説得材料になれば良いなと思っています。

cxin

執筆:cxin

SHERE

RELATED POSTS関連記事

POPULER POSTS人気の記事

お役立ち資料WHITE PAPER

ユーザーコミュニティを導入している企業様の事例やcoorumが主催したイベントのレポートをダウンロードできます。
コミュニティの活用方法について知りたい、どうすれば企業の成長につながるのか知りたいそんなお悩みを解決します。