LTV(ライフタイムバリュー)とは?注目される理由や向上に役立つ施策を紹介

2023-07-24 コラム

LTV(ライフタイムバリュー)は、顧客と取引を開始してから終了するまでの間にもたらす利益を示す指標です。新規顧客の獲得コストが拡大するなか、既存顧客のロイヤリティを高め、顧客との継続した関係を築くことが重視されています。ここでは、LTVの意味や計算方法、LTVの向上に寄与する施策例を解説します。

LTV(ライフタイムバリュー)とは

LTV(Life Time Value)とは、顧客生涯価値と訳され、顧客から生涯にわたって得られる利益のことをいいます。一度の取引で得られる利益だけでなく、2回目、3回目と、取引の終了までに繰り返し取引を行うことで得られる利益がどれだけになるかを考える指標です。LTVは自社サービスの利益構造や優良顧客の分析に役立ち、主にマーケティング活動の目標指標として活用されます。

なお、同一の顧客と繰り返し取引を行うためには、既存顧客との関係を良好に保ちロイヤリティを高める必要があり、一般にロイヤリティの高い顧客ほど、LTVが大きくなります。

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LTVの計算方法

LTVのシンプルな計算方法は下記の通りです。

LTV=購入単価×購入回数

LTVを算出する際は、それぞれの顧客に対して個別に算出するのではなく、顧客セグメント全体に対して算出を行い、参考指標として活用するのが一般的です。商品の特性や顧客の傾向に合わせてより詳細にLTVを算出する場合には、次のような計算方法もあります。

LTV=平均顧客単価×収益率×購買頻度×継続期間

なお、新規顧客の獲得コストや、既存顧客のロイヤリティを維持するためのコストを考慮した数値を出したい場合には、上記の計算式からそれらを差し引くことで計算できます。

LTVが注目される理由

LTVが注目される背景には、市場の飽和により、新規顧客獲得が難しくなったことが挙げられます。成長市場においては新規顧客を獲得しやすく、商品のプロモーションによる売上の拡大が見込めます。しかし、成熟市場においては、新たな需要喚起はなかなか難しいのが現状です。

また、「1:5の法則」によれば、新規顧客の獲得コストは、既存顧客を維持するコストの5倍かかるといわれています。このように新規顧客へのアプローチだけでは、利益の拡大につなげにくいため、既存顧客のロイヤリティ向上によるLTV向上が注目されているのです。昨今、拡大しているサブスクリプションサービスは、LTVに注目した代表的なビジネスモデルといえるでしょう。

LTVを向上させる施策

LTVを向上させるために取り組むべき施策をご紹介します。先述のLTVの計算式におけるいずれかの数値を改善するのがポイントです。

購入単価を上げる

顧客が1度に購入する単価が増えれば、LTVは改善します。購入単価を上げる方法は次の3つがあります。

・値上げ:商品の単価を上げる

・アップセル:上位の商品への移行を促す

・クロスセル:関連する商品の購入や、まとめ買いを促す

しかし単純な値上げには、顧客離れのリスクもはらんでいます。自社の商品が選ばれる理由を正しく理解し、顧客に受け入れられる値上げを見極める必要があります。またアップセルやクロスセルにおいては、例えばECサイトのレコメンド機能や、サンプル商品の提供による次回の購入単価アップを目指す方法があります。

購入頻度を上げる

既存顧客が購入する頻度を上げることができれば、LTVの向上につながります。メルマガやSNS、コミュニティサイトなどを用いて顧客との接点を増やすことで、継続的な関係を築くことが、購入頻度の向上につながってきます。

また、商品の紹介だけでなく、利用シーンや使い方を拡張するような情報提供をして、利用頻度が上がれば購入頻度も増えてくる可能性が高まります。また、商品開発に関する意見を募ったり、顧客参加型のキャンペーンを行ったりすることで、商品へのロイヤリティを高め、購入につなげるという手もあります。

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コストを下げる

売上を獲得するために使っているコストを下げることもLTVの向上に寄与します。製品の原価を見直したり、広告費をはじめとするマーケティング費を見直すなど、カットできるコストがないか改めて確認してみると良いでしょう。

しかし安易なコストカットは、顧客体験の質を落とし、かえってLTVの悪化を招く可能性もあります。顧客のロイヤリティを維持したまま、削れるコストがないか検討することがLTVの向上につながります。

解約率を下げる

一度獲得した顧客に長く商品を利用してもらうことで、LTVは向上するため、解約率を低く抑える工夫も必要になります。顧客体験を高めるコミュニティサイトを運用したり、長期利用者向けのポイントサービスやイベントなどを行ってロイヤリティを高めたりと、継続して利用してもらうための施策はさまざまです。また、利用者のデータ分析ができているのであれば、解約の兆候を見つけ、解約を阻止する施策を実施するという手もあります。

LTVの向上にはロイヤル顧客の育成が効果的

LTVを向上させる施策をご紹介してきましたが、それぞれの施策に共通するのは、商品を愛用し繰り返し購入してくれるロイヤリティの高い既存顧客を育成する必要があるということです。

既存顧客のロイヤリティを高めるには、SNSを活用して顧客との接点を増やしたり、コミュニティサイトを運営して、ユーザー同士の関係構築を促したりと、長期的な視点を持った取り組みが必要になります。

商品を愛用し、場合によっては宣伝も担ってくれるロイヤリティの高い顧客を育成し、LTVの向上につなげましょう。

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ビジネスモデル別のLTV施策

ストック型ビジネスとフロー型ビジネスのそれぞれで有効なLTV向上施策をご紹介します。

ストック型ビジネス

ストック型ビジネスとは、顧客に継続して使ってもらう定額サービスを提供するビジネスモデルのことです。動画配信サービスや英会話教室、会員制のスポーツジムなどがこれにあたります。

ストック型ビジネスでは、顧客が一度契約すると、解約するまでは継続して売上が上がるため、顧客のロイヤリティを高め、解約されない仕組みづくりをするのが成功のポイントとなります。

継続率を高め、LTVを高める施策としては、次のようなものが考えられます。

・継続利用によるメリットの訴求

・メルマガやコミュニティサイトを活用した顧客とのコミュニケーション

・解約の可能性が高いタイミングで、クーポンやプレゼントを配布する

フロー型ビジネス

フロー型ビジネスとは、継続的な契約を結ぶことなく、商品やサービスを一度だけ販売し、売上を得るビジネスモデルです。売り切り型モデルとも呼ばれ、スーパーや飲食店、家電量販店などがこれにあたります。

フロー型ビジネスでは、常に新規顧客を獲得し続ける必要がありますが、商品やブランドに対するロイヤリティを高めることができればLTVの高い顧客を生むことも可能です。

フロー型ビジネスにおいて、LTVを高める施策としては、次のようなものが考えられます。

・ポイント制度や会員ランク制度を導入する

・回数券などストック型の仕組みを組み込む

フロー型ビジネスでは、一度購入した顧客に再び商品やブランドを想起し、手にとってもらう必要があります。そのためにはポイント制度や回数券など繰り返し購入することでメリットが得られる仕組みを導入すると効果的です。

おわりに

LTVについてご紹介しました。既存顧客と良好な関係を構築し、継続して商品やサービスを利用してもらうことでLTVを高めることができます。LTV向上のための施策は、長期的な取り組みになるため成果が数字に表れるまで時間がかかる場合もありますが、自社の顧客をしっかり理解し、良好な関係を築いていくことで、LTVの向上、売上げアップに寄与することができます。

cxin

株式会社Asobica cxin編集部。
コミュニティやファンマーケティングに関するノウハウから、コミュニティの第一人者へのインタビュー記事などを発信。

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